任意後見契約の解除の「正当な事由」とは、何でしょうか。
一言で云いますと、それは「任意後見人」が、任意後見契約で定められた職務を怠っている場合です。
先ずは、本人からの解除が認められます。
本人が意思表示できない場合は、本人保護の観点から、「任意後見監督人」などが解任の手続をとることができます。
任意後見人に不正な行為、著しい不行跡、その他です。
その任務に適さない事由があるときは、家庭裁判所は、任意後見監督人、本人、その他親族などの請求により、「後見人を解任」することができます。
また、任意後見監督人が選任された後に「法定後見開始の審判」がされたときは、任意後見人と成年後見人等の権限の重複を防止するために、既に効力の生じている任意後見契約は、当然ながら終了します。
ここで「任意後見契約終了の登記」について、触れておきます。
任意後見監督人選任前の場合ですと、任意後見契約の本人または「任意後見受任者」などが、登記所に対して、任意後見契約の終了の登記の申請をいたします。
任意後見監督人選任後の場合は、本人、任意後見人または任意後見監督人が、登記所に対して、任意後見契約の終了の登記の申請をする必要があります。
これは、任意後見人の「代理権の消滅」は、この登記をしなければ、「善意の第三者」に対抗できないと云うことにその根拠があります。
次に、任意後見契約当事者の「死亡」などの場合を考えてみます。
任意後見契約は「委任契約」ですので、委任契約の原則に従がいます。
本人または任意後見人が死亡し、或いは「破産宣告」を受けた場合です。
加えて、任意後見人が「後見開始の審判」受けた場合は、任意後見契約は、当然ながら終了することになります。