今この時期、東京都内をはじめ近郊各地の名所は、桜が満開、家族連れや団体で賑わっています。
「桜」は、日本を代表する花として百人一首やその時代の和歌集の中に詠まれております。
それはまた古今東西を問わず、それぞれ人の心やその趣を著わす格好の題材として、取り上げられます。
梅が寒い冬から出ずる春の時節の象徴として描かれるとすれば、桜は 温かな季節への到来を表し、歌われます。
そのしなやかな淡い花びらは、私どもの心を久しく和ませてくれます。
皆さん、「すすき」はどうでしょうか。
おれは 河原の 枯れすすき
おなじ お前も 枯れすすき
どうせ二人は この世では
花の 咲かない 枯れすすき
死ぬも 生きるも ねえお前
水の 流れに 何変わろう
おれもお前も 利根川の
船の 船頭で 暮らそうよ
これは、作詞・野口雨情、作曲・中山晋平の「船頭小唄」です。
皆様、一度は耳にし、口ずさむ歌ですね。
古へより多くの日本人に親しまれ、日本の音楽の感性を産み、今日の歌謡の源流になったとも言えます。
近くは森繁久哉さんが歌い語り、私達の心にしみじみとその情感を聞かせてくれました。
さて箱根仙石原の裾野に開く、すすきの草原は素晴らしいですね。
秋9月・10月頃、裾野一帯は、出はじめた青色のすすきの穂でおおわれ、そして1,2ヶ月もすると、その穂は黄色に変わります。
正に裾野は黄金色のベールに包まれます。
多くの行楽の方々が訪れ、すすき穂の草原に分け入り、その自然を満喫します。
「すすき」は、花の咲かない穂と言えますが、それら穂が集まり群生して、鮮やかな黄金色の一大ページェントを描きます。
また一本、二本のすすきを見ても、咲く花にはない趣を私たちに遺してくれます。
詩にもよく詠われますね。
私ども人生、一生懸命頑張っても、努力してもその結果を出せないこともありましょう。
それぞれ生活環境も違い、時には不運もあり、花を咲かせられないことも出てきます。
だからといって、落ち込むことはありませんね。
人生は、いろいろです。
咲く花もあれば、咲かないすすき穂もあります。
その人なりの行き方が、あるはずです。
最後の最後まで、信じたいです。
今遂げられなくても、明日には、美しい花を咲かせることが出来るかも知れません。
「おれは 河原の 枯れすすき」で、いいじゃないですか。
私は、歌います♪~♪~♪。
神様、仏様は、決して見捨てはしませんよね。