「たっちゃん、元気!」

「こら、たっちゃん、飲みすぎちゃ駄目よ!」と、声をかけてきます。

私と顔を合わす時、いつもそう言うんです。

「いやぁ、大丈夫、大丈夫!」と私は、言葉を返します。

 先日、彼女の訃報に接しました。

どうしてあんなに、元気だったのに・・・・。

昨年来、体の不調を訴へていましたが、肺癌と膠原病の末期症状で区内の病院に入院していたそうです。

 彼女は、数年前から脳梗塞のため施設に入所する高齢男性の補助人をしていました。

その男性というのは、妻と離婚して二人の子供とも絶縁状態で、全く身よりもありません。

それを見かねた彼女が、ご自分から家庭裁判所に申請し、法定後見人制度にかかる補助人に自分が選任されたんです。

 被補助人の介護から預貯金・年金受給管理まで、いつも極め細やかにやっておられたようです。

正直、なかなか出来ないことで、そうそう容易なことではありません。

これも、困っている人を見ると、放っておけない彼女の人柄だったんですね。

 モルヒネ注射を打って痛みに耐えた病床でも、彼女は施設の被補助人のことを気づかい、「私に代わって、誰か相応しい人決めて・・・・・」と口癖のように言っておられたと聞きます。

 過日、彼女の娘さんから、「補助人変更手続」依頼の電話を頂きました。

早速、私は家庭裁判所へ連絡をとって彼女の最後の意思を説明し、近時その変更申請をとる運びであります。

 彼女が、「たっちゃん」と呼ぶのは、私の名が「達夫」ですので、日頃の親しさを込めて、そう呼んでくれたものでしょう。

 私は、とても寂しいやるせない気持にかられます。

どうぞ安らかに、ご安住下さい・・・・・・。

心からご冥福をお祈り致します。

 いろいろと、本当にありがとうございました。