先日、私は数年来患ってきた持病のCT検査に東京・築地にある聖路加国際病院を訪れました。
その折放射線科の待合室で患者さん向けの1枚の医療パンフレットが目に入り、それをご紹介させて頂きます。
昨年中央紙の新聞紙上にも掲載されて、読者の反響も強かったようです。
「A子さん(73)は3年前から、背骨が曲がり、激しい痛みで10分の間も立っていられなくなった。医師の診断で骨粗しょう症による圧迫骨折と判明、次第に胃が圧迫され食欲も減退、落ち込む日々だった。聖路加国際病院で骨セメントを使った経皮的椎体(ついたい)形成術を受けた。翌日には痛みが半減、元気に歩けるようになった。」
人間の骨は年とともにもろくなり、骨の中にあるカルシウムが血液に溶け出して、骨の中身(骨量)が減ります。この骨量の低下のひどい状態が骨粗しょう症で、背骨の圧迫骨折を引き起こす主な原因と言われます。
背骨は、首から腰まで24個の椎体(ついたい)と、椎間板がつながったもので、骨粗しょう症で骨がもろくなると、ふとしたはずみから体の重みで椎体がつぶれる。
これが「圧迫骨折」で、骨が曲がり、ひどい痛みが出るようです。
従来の治療は、安静にして鎮痛剤や進行を抑える薬を服用したり 患部を固定するコルセットを着用したりといった方法でしたが、慢性の痛みが残り、日常の仕事が出来なくなったり、寝返りを打てなくなったりして運動機能が低下し、寝たきりやうつ状態になることもあるそうです。
「経皮的椎体形成術」は、骨折した椎体の中に、特殊な液体とバリウムを混ぜた骨セメントを注入し、圧迫骨折による痛みを緩和する手術です。
手術では血管撮影装置やCTで、背骨をエックス線透視しながら、背骨に並行して通る脊髄神経を避け、椎体の中に注射針をさし骨セメントを注入します。
この手術は手際の良さが求められ、所要時間は1~2時間ほどです。手術の翌日の午後には歩行でき、今までのひどい痛みは大きく緩和されるようです。
実際に病院で治療を受けた方が「今まで容易に出来なかった家事もこなせるようになり、着物も着られ、同窓会の一泊旅行にも行きました。無理は禁物ですが、生き生きした暮らしを取り戻しました。」と言われます。
ただその効果が高いのは、骨折後1か月以内とのことです。
骨セメントが椎体の外に漏れてしまうことで、神経障害や肺塞栓症など合併症を起こす危険があり、病院放射線科では一度に多くの椎体を治療したり、患者の容態が弱っている場合は避けるようです。
痛みが軽減されるのは、背骨のすかすかで不安定だった椎体が骨セメントで固定され、脊髄など神経への接触が回避されるからです。
「経皮的椎体形成術」の治療を行う医療機関は、全国では聖路加国際病院など数ヶ所の施設に限られ、各病院の放射線科が担当しております。
また、高度先進医療として認められていますが、未だ保険は適用されず、各施設で費用はまちまちのようです。
如何ですか。
あなたの身近の方で、「骨粗しょう症」や「背骨骨折」で痛み苦しんでいる方は、いらっしゃいませんか。
一度病院に問い合わせ、今の症状をお話してみたらどうでしょうか。
痛みを少しでも和らげる方法が得られるかも知れません。
骨セメント治療で苦しい痛みから解放され、笑顔が戻ることでしょう。
私の業務のお客さんの中で、過日事故に遭い、「腰椎圧迫骨折」を受傷された方がおられます。
さっそく治療のお話に伺いたいと思います。