前回に引き続き、帰化の基本についてお話いたします。日本に住み始めた外国人が、日本人になりたいと考え願い出ることによって、国籍を捨て日本人になることが出来ます。この国籍を捨て他国の国籍を得ることを、帰化と言い、その申請は、外国人自らが法務局で行います。帰化要件がきちんと具備していれば、かなりの率で許可されます。

 それでは国籍とは何でしょうか。国籍とは、「個人の国家の構成員たる資格」で、個人の身分や資格を言います。又、国籍の付与の方法には、いわゆる生地主義と血統主義の二つがあります。アメリカ、カナダやブラジルなどでは、その国の国土において出生したあらゆる者に、国籍を与える方式を取っています。この考え方を生地主義と言います。一方日本では、親子関係を基盤とし、父又は母が日本人であれば、出生地が日本国内であろうと他国地であろうと、出生した者に国籍を与えるという血統主義をとっています。ただ日本人の子がアメリカなどの生地主義の国で生まれた場合、国籍留保の届出をしなかったことにより、アメリカと日本の両国の国籍を持つ、いわゆる二重国籍者となってしまうケースが出てしまいます。

 帰化には、要件の違いによって、普通帰化と簡易帰化の二つがあり、その許可は法務大臣の自由裁量に委ねられております。

 国籍法においては、申請者の個々の環境によって条件が緩和されるケースが規定されています。

普通帰化の基本となる条件をみますと、①引き続き5年以上日本に住所を有すること ②20才以上で本国法によって能力を有すること ③素行が善良であること ④自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができること ⑤国籍を有せず、または日本の国籍の取得によって元の国籍を失うべきこと ⑥日本国憲法施行の日以後またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、もしくは主張し、またはこれを企て、もしくは主張する政党その他の団体を結成し、もしくはこれに加入したことがないこと ⑦日本語の読み書きができることとされています。

 一方簡易帰化は、個々の環境が考慮され、普通帰化よりも条件が緩和されています。たとえば、「日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住んでいて、縁組のとき本国で未成年であった人」や「日本国民の配偶者である外国人で引き続き3年以上日本に住所があり、現在日本に住んでいる人」などは、要件が緩和され、帰化許可申請が可能となります。この他にも、住居要件や生計要件が緩和されることがあります。