あーやです。

大切な人を失ったものにとって
クリスマスは地獄だ。

どこを歩いても
大好きだったクリスマスキャロルが
私の耳に容赦なく流れる。

保育園のとき、園内で
大きな大きなクリスマスツリーに
飾り付けをしたことがあった。

完成したと同時に
ワー!とみんなで声を上げた。

あの時の、泣いてしまいそうなほどの喜びを
今でも覚えている。
それから、私はツリーを見るのが好きになった。

小学1年生のクリスマス。
キッチンには、父と母が立っていた。
母がパーティーのための料理と
クリスマスケーキを作り
父はターキーを焼いていた。
その当時、私は
“ラーキーターキー”と言っていたが
今探してもそんな名前のターキー料理は出てこない。
しかし、どうやら「Turkey Lurkey」という
歌があるそうで
とても粋な呼び方を教わっていたのだと
33年越しに知ることになる。

姉と私は部屋の飾り付けをしていた。
私は、数人のサンタがベルを鳴らす
お気に入りのおもちゃをそっと窓辺に飾った。

すると、窓の外にフワッと白いものが見えた。
「雪だ!」
みるみるうちに家の前の道は白くなり
映画に出てくるような展開の
ホワイトクリスマスになった。

いつもは父が撮影しているが
この時は手が空いている私が
ビデオカメラをまわしていた。

丸いテーブルに美味しそうな料理が運ばれ
そこには、クリスマスケーキと
“ラーキーターキー”が。

いただきますの前に
サンタのおもちゃに合わせて
みんなでクリスマスキャロルを歌った。

カメラを回していた私は
いつのまにか泣いていた。

しあわせが何かを知った日だった。

だから、クリスマスが1番好きだった。


もう二度と、あの時に言った
メリークリスマスは言えないかもしれない。

けれど、きっとまたいつか
新しいメリークリスマスを言える日が来る。

痛む心を抱える世界中の人々も
今年は少しでも優しいクリスマスが過ごせますように

だから、今年はこう言おう。
“ラーキーターキー”!