母の胎内に一切の感情と

言葉を置き忘れて生まれてきたユリア。


北斗練気闘座に連れてこられたあの日。

彼女の心は、ラオウによって誘われ

ケンシロウによって開け放たれました。


彼女の人生は、ふたりの男によって

その命に光を取り戻します。



ミュージカルの中で

実は、カットされた

ユリアのセリフがあります。


「私は闇の世界に生きていたの

それが闇だとも知らずに」

私はこのセリフがとても好きでした。



ラオウが眠るその横で、ユリアは歌います。



この時代に選ばれて

氷と炎のように戦う二人の男

その狭間で 私が成すべき何か

それを見つけ出したい

この時代を拓く何かを・・・


生まれつき一切の言葉、感情を

発する事ができなかったユリアは

歌の中だけでしか心の叫びを

表現出来ないようにも感じるシーンです。



ケンシロウを愛し

待ち続けたユリアですが

天は揺らぎ、いたずらにも

ラオウと引き合わされてしまいます。



宿命を背負う彼女の心の叫び。

その哀しみに寄り添った人は

実はラオウでした。


哀しみを背負った者のみが成しうる

北斗神拳の究極奥義 夢想転生を手に入れるため

ラオウはユリアを殺そうとします。


しかし、その時

ユリアはトキと同じ死の病に冒されており

既に余命数ヶ月と幾許もないことを知るのです。


ラオウは泣きます。

本当の哀しみを知るのです。


ラオウはユリアの秘孔を突き

仮死状態にすることで病状の進行を停止させ

余命を数年までに延命しました。


「誰を愛そうがどんなに汚れようがかまわぬ

最後にこのラオウの横におればよい」


最大の愛の言葉に聞こえます。


しゅんちゃんラオウが

アフタートークショーでも

お話していましたが


夢想転生のため、最大の哀しみを得るために

彼女の命を奪おうとしたこと。


「ユリア!お前の命をくれい!」


この言葉こそ、最大の愛の告白であることさえ

ラオウは気づいていないのです。


ラオウがこの乱世になそうとしていたことを

理解しようとし、間違っているものは

間違っていると伝える。


彼の心を真正面から見つめたのはユリアでした。


また、ラオウの良き理解者である人が

実はユリアだったという点も

とても興味深い所なのです。



「愛とは、哀しみとは」


このラオウの問いかけに

毎回、涙が出そうになります。




愛ゆえに、闘う。

この旅は、まだまだ続きます。