データで暴く男女不平等の現実


2019年にアメリカとイギリスで発売後、

イギリスでベストセラーになり、数々の賞を受賞


人類の半数を考慮しないとどうなるか

を描いた物語。

データにおけるジェンダー・ギャップが、

日常生活のなかで常識としてまかりとおり、

女性たちにどのような害を与えてきたかを

暴露する本。




第2部 職場


第3章 長い金曜日


1975.10.24 アイスランドで

「女性の休日」として、

ストライキを起こし、

アイスランドの90%の女性が

ストライキに参加。

当時のアイスランド人口22万人の

1割以上、25000人が決起集会場所の

レイキャビク広場に集まった。


2010年代になっても、世界的には

無償労働の75%は女性が担っていて、

毎日3~6時間を費やしているのに対し、

男性は平均30分~2時間に過ぎない。


女性の雇用労働における就労率が

増えても、それに応じて

男性の無償労働は増えていない。

女性の稼ぎが世帯収入に占める

割合とは関係なく、

無償労働の大半は女性が行っている。


そして、男性が無償労働をより多く

行う場合でも、日常の家事ではなく、

子どもの世話だけをやる場合が多く、

高齢者の世話はほとんど手を出さない。


余暇の時間の使い方も

男性は女性よりも毎日1時間多く

息抜きの時間を取っている。


オーストラリアのある研究では、

女性はわずかな余暇の時間でさえ、

男性のように「まとまった時間が取れず、

 ほかの用事をすませながらのことが多い」

ことがわかった。


1997~2004年までのイギリスの

公務員に関するデータを分析した

2011年の研究によると、

労働時間が週55時間を超えた場合、

男性は有意な影響は見られなかったが

女性たちは週41~55時間でも、

メンタルヘルスに問題を生じる

リスクが高まることがわかった。

(カナダの研究やオーストラリアの

  調査結果とも一致)


ケア労働をしていない女性は、

メンタルヘルスへの影響は

ジェンダー格差が少ない。


→女性が男性より少ない労働時間で

メンタルヘルスに問題が生じるのは、

ケア労働時間が見えていないだけ。


ケア労働との両立のために女性は

パートタイムの仕事に切り替える

ケースが多く、男性との賃金格差が

広がる。そのために、女性たちは

高齢になると、極度の貧困に直面する。


男性優遇の年金制度問題や

高齢女性の貧困化への対処と

女性たちが有給の仕事を

続けることを可能にするためには、

十分な有給出産休暇が必要。

(重要なのは有給出産休暇の長さと支給額)


アメリカ以外の先進国では、従業員に

対し有給出産休暇を保証しているが、

ほとんどの国の制度は、支給額や

休暇の長さの点において、満足の

いくものになっていない。


2010年のスイスの研究では、

父親の育児休暇が1ヶ月増えるごとに

母親の将来の収入が平均7%増加する

という結果が出ている。


しかし、スウェーデンのように、

父親専用の育児休暇を父親が

必ず利用しなければならず、

もし、利用しなかった場合は、

世帯全体の休業手当から

差し引かれるという強制的な制度

にならなければ、男性は育休を

取得しようとしない。


典型的な男性の生活パターンに

基づいて設計された昇進制度が

長時間労働の問題を悪化させる要因。


有給労働の文化全体について、

抜本的な見直しが必要なのは明白。


第4章 実力主義という神話


ニューヨーク・フィルハーモニック

では、女性の音楽家がほとんど

いなかった。

1980年代の訴訟以降、審査のとき、

審査委員会と演奏者の間に

ブラインドを置くことで、

女性の新規雇用者が50%を

占めるようになった。


学問の世界でも、女性著者による

論文はダブル・ブラインド・レビュー

の方が受理される確率が高くなったり、

高等教育における授業評価表は

女性教員の方が無意識の偏見により

不当に低い評価をつけられることがある。


第5章 ヘンリー・ヒギンズ効果


『リーン・イン』著者の

シェリル・サンドバーグが第1子妊娠中

当時働いていたGoogle社では、

妊婦専用の駐車場がなく、彼女が

創業者のひとり、セルゲイ・ブリンに

直接、妊婦専用駐車場を訴えるまで、

女性の体をめぐるデータ・ギャップに

誰も気づかなかった。


そのほかにも、オフィスの標準室温が

男性を基準にしているので、女性に

とっては低すぎることなど、労働衛生に

関するデータ・ギャップは業務にも

支障をきたすだけでなく、慢性疾患にも

つながる。


著者が命名した

ヘンリー・ヒギンズ効果とは、

ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の

ヘンリー・ヒギンズ教授より

主人公のイライザを下町の花売りから

レディ(淑女)に変身させたように

『女性たちを改善すること』


ただし、現実では、軍隊や警察官など

女性が男性を基準とした防護服や

制服を着用することで健康被害が

生じたり、ケガや命の危険に晒される

リスクが高くなっている。


第6章 片っぽの靴ほどの価値もない。


2015年にニューヨーク・タイムズに

掲載されたネイリストの体験談。


ネイリストが顧客が履いていた

プラダのサンダルに誤って

除光液をこぼしてしまい、

弁償を求められた上司が顧客に

お金を払い、ネイリストが解雇

されたときに、呟いた言葉。


ネイリストなど多くの女性が

不安定で、劣悪な職場環境で

働いている。


また、不安定労働や非正規雇用の

女性は性的ハラスメントのリスクが

高い。


この章で書かれたことは、

多くのジャーナリストも

書いてます。


『存在しない女たち Invisible Woman』

の凄さは、ありとあらゆる場面で、

女性が不利な立場に立たされている

ことを、データをもとに訴えていること。


次の医療の分野では、女性の命にも

関わってきます。



📚️📚️📚️📚️📚️📚️📚️📚️📚️📚️📚️📚️

pick報酬はすべて寄付します。



 



理不尽だと思ったこと

 

 

 

 

 

同じネタで投稿する

 

他の投稿ネタを確認する