今月6日から当地ベルギー・ブリュッセルで開催中の世界三大音楽コンクールのひとつ、エリザベート王妃国際音楽コンクール。
今年はヴァイオリン部門。一年ごとに部門が入れ替わるコンクールです。
ファイナルラウンドは、今週27日(月)から始まっていて、早くも明日の最終日一日を残し、今夜までで10名の演奏を聴きました。いずれも素晴らしい演奏です。
僕らはこれまでヴァイオリン部門とピアノ部門(他に声楽、チェロ部門)のファイナルラウンドと閉幕ガラコンサートを毎回会場のBOZARで聴いてきましたが、毎晩生演奏を聴きに行くのも少ししんどくなって来たので、今年は一旦おやすみしてみることに。
ということで、コンクール公式サイトや、ベルギーのテレビ局でストリーミング配信にて視聴しています。
エリザベートコンクールの特徴は、全ファイナリストが本選のために作曲された作品を課題曲として弾くこと。曲については、ブリュッセル郊外の「シャペル」と呼ばれる音楽院に到着して初めて楽譜を渡されます。また、「シャペル」ではスマホやPCなど全ての電子通信機器を没収されての隔離された生活を送ることに。その一週間の短い期間に課題曲を仕上げることになる過酷なコンクールなのです。
今年の作品は、
Thierry ESCAICH ティリー・エスケッシュ作曲『Variations Litaniques リタニカル変奏曲』
出だしのパーカッションが印象的で全体的にリズミカルな曲となっていて、現代曲としては聴きやすい作品に仕上がっています。
また、決選のハイライトであるヴァイオリンコンチェルト。各コンテスタントが選んだ協奏曲の内訳は次のとおり。
ショスタコーヴィッチ 4名
ブラームス 3名
チャイコフスキー 2名
エルガー 2名
シベリウス 1名
例年と比べて、チャイコフスキーとシベリウスが少なめ、ベートーベンを引く人が一人もいないのも初めてなような?
そして、今年はこれまで演奏されることがなかった(少なくとも僕がこのコンクールを聴くようになってから)エルガーの演奏が一気に2名も。実は今季23−24年のクラシックシーズンの始まりにウィーンフィルの演奏を同じホールで聴いたのですが、そこでエルガーのヴァイオリン協奏曲を人生で初めて生で聴いたのでした。ちょっと今エルガー流行りなんでしょうか?
チャイコフスキーのように華があって誰もが気分高まるメロディーがあったり、ショスタコーヴィッチのように怪しげさのあるアップテンポに乗せられて盛り上がる曲は、BRAVOやスタンディングオベーションに繋がりやすいのですが、それらの作品よりやや地味で内面的な表現となるブラームスやシベリウスと比べても、エルガーの協奏曲はさらに通好みな選曲と言えます。
さて、これまでの10名のファイナリストたちの中で際立った演奏者をご紹介。
エリー・チョイ Elli Choi
とにかくリズム感のある躍動的な演奏が魅力。スケールも大きく堂々とした演奏。ショスタコーヴィッチの最終楽章、高速アップテンポで一気にフィニッシュ!情熱的な演奏に、会場は一気にスタンディングオベーション。聴衆の圧倒的な人気を背景に優勝を獲得出来るでしょうか?
盛り上がる楽章ごとに拍手が起きていたこの日。普段クラシックコンサートには来たことのないミーハーな聴衆も多かった模様。
ケヴィン・ジュ Kevin Zhu
緩急をつけたメリハリのある演奏で、さらにもう一段深い表現とスケールを感じさせる高い音楽性が印象的。僕の中での現在優勝候補の筆頭。エリー・チョイの時と来ている聴衆と違うのか、少し間があいてから静かに波を打つようなスタンディング・オベーション。12年前初出場のコンクール歴。その後6年ごとにコンクール参加をしていて、その2回とも優勝、前回2018年はパガニーニ国際コンクールで優勝。6年後のエリザベートも優勝を飾れるか?
チョイ・ソンハ SongHa Choi
安定感のあるクリアで美しい音色と抜群のリズム感。個人的にはとても好きなタイプの演奏でした。敢えて言えばショスタコーヴィッチらしさにやや欠ける印象もあり、その点がどう評価されるのか?確実に優勝を狙うなら別の曲で勝負したほうが良かったかもしれません。前々回2015年、前回2019年でなら優勝できたかも。
以上のショスタコーヴィッチを弾いた三名は、三者三様それぞれタイプの違う演奏で、その対比が面白かったですが、どのような審査結果になるのか興味深いです。
そして、今夜の一番の驚きだったのがこちらのお方。
吉田南 Minami Yoshida
初日に最初のエルガー弾きがいて悪くはなかったものの、やはり地味さが拭えない感じでしたが、吉田さんの演奏は感情を内包させているというのか、とても深みのある詩的な表現で音色も豊か。感動しました!この曲でスタンディングオペーションが起きたのも聴衆もなかなか解ってるじゃん!
他の曲と比べて、「乗せられる」旋律が少ないエルガーのコンチェルトですが、そんな曲の特徴を巧く捉えて一音一音丁寧に表現することに集中している印象でした。この人もまた別の曲で聴いてみたいと思わせてくれる深みのある演奏でした。がぜん上位入賞の期待が高まって来ました。もしかしたら優勝も?と思わせるくらい。
今年は全体的にレベルが高いというのが僕の印象で、他にも注目の演奏者が。
ルスラン・タラス Ruslan Talas
ロマンティックなブラームスのコンチェルトが印象的。例年力任せで演奏する男性ヴァイオリニストも多い中、この人の演奏は内に秘めた力強さを感じさせます。
最終日の土曜も優勝候補を含む二名が登場。
ドミトロ・ウドヴィチェンコ Dmytro Udovychenko
ジョシュア・ブラウン Joshua Brown
最後まで目が離せません。
これまでの演奏、そして、最終日の生放送のストリーミング配信はこちら⏬のリンクからどうぞ!
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