以前、観たイギリス・イタリア合作映画、「おみおくりの作法」を日本でリメイクした作品です。

 

とある市役所。身寄りがなかったり、あっても引き取りを拒まれた遺体を埋葬する「おみおくり係」として働く牧本壮。空気が読めず人の話を聞かない彼は、故人を丁寧に見送ろうとするがあまり、周囲と軋轢を起こすこともありました。そんなある日、業務の効率化の名目で、おみおくり係が廃止されることになります。孤独死した老人、蕪木孝一郎の葬儀が最後の仕事となった牧本は、故人の身寄りを探すために友人や知人を訪ね歩き、蕪木の娘、津森塔子のもとにたどり着き...。

 

基本的にはオリジナルのストーリーに沿った展開となっています。

 

本作の方が、主人公の描き方が若干、コミカルな雰囲気になっているでしょうか。

 

周囲にはわれ関せず、自分の想いを支えに"仕事"に邁進していく牧本。何故、牧本がそこまでするのか、その背景はよく分かりませんでしたが、自身に与えられた「おみおくり」という役割を忠実に果たそうとしているように見えます。

 

人とのコミュニケーションがあまり得意ではなさそうな牧本ですが、この世を去った人を思い遣る気持ちは強いようです。意外に、既に亡くなった人との方が、様々なことに惑わされずじっくりとコミュニケーションできたりするのかもしれません。

 

牧本の最後の仕事。蕪木の葬儀には、これまで以上に情熱を注ぎます。その過程で、牧本が色々な人と触れ合い、その中で成長する姿が描かれます。ただエネルギー補給だけのためだったような味気ない食事をしていた牧本が、ちゃんと料理して椅子にかけて食事をするようになったり、きちんとしたカップアンドソーサーで紅茶を飲んだり...。

 

「おみおくり係」は、業務の効率化を理由に廃止されることになりましたが、牧本の生活は、効率重視から豊かさや潤いを求める方向に変化していたようです。この辺りの変化も面白かったです。

 

ただ、死後、それなりの期間、遺体が放置されていた現場にないる時の服装などがあまりに無防備で気になりました。遺体の腐敗が進んでいれば、相当な悪臭もあるでしょうし、それだけではなくかなり不衛生で、人体に悪影響を及ぼすような状況にもなっている可能性が高いわけで、それなりの防備は必要なのではないかと...。

 

本筋ではない部分ではありますが、気になりました。孤独死の遺体の処理などについてのドキュメンタリーなども出回っているので、もう少し、リアリティを持たせた方が良かったのではないかと...。

 

牧本を演じた阿部サダヲが、牧本を単なる変人ではない魅力的な人物に仕上げていました。

 

 

 

公式サイト

映画「アイ・アム まきもと」公式サイト|大ヒット上映中! (iammakimoto.jp)