創建が1895年(明治28年)。特に長い歴史を持つ神社仏閣がひしめく京都においては、比較的新しいお宮です。

 

1895年(明治28年)4月1日に平安遷都1100年を記念して京都で開催された内国勧業博覧会の目玉として平安京遷都当時の大内裏の一部復元が計画されました。当初は実際に大内裏があった千本丸太町に朱雀門が位置するように計画されたのですが、用地買収に失敗。岡崎に1893年(明治26年)9月3日に地鎮祭が行われました。社殿は平安京の大内裏の正庁であった朝堂院を8分の5のスケールで復元したもので、1895年(明治28年)に完成しました。

明治初期、京都の町は幕末期の戦乱により荒廃していました。その上、明治維新により首都機能も天皇も東京へ移されたことは、京都の人々の心に大きな悲しみを与えたと言われています。平安神宮の創建は、京都復興の象徴でもありました。


平安神宮の創建は、内国勧業博覧会の約2週間前の3月15日。平安遷都を行った天皇である第50代桓武天皇が祀られています。皇紀2600年にあたる1940年(昭和15年)には、平安京で過ごした最後の天皇となった第121代孝明天皇が祭神に加えられました。平安神宮では京都を守る四神の御守が授与されています。

1976年(昭和51年)1月6日、平安神宮放火事件が発生し、本殿や内拝殿など9棟が炎上、焼失しました。ただし、東西の両本殿から御神体は運び出されて無事でしたし、外拝殿である大極殿も延焼をまぬがれました。全国から寄付金が届き、本殿や内拝殿は1979年(昭和54年)4月に再建されました。

1994年(平成6年)3月15日には、平安神宮御鎮座百年祭が執り行われました。

 

 

2017年(平成29年)3月10日拝受

 

平安神宮(へいあんじんぐう)

御祭神:桓武天皇

      孝明天皇

御利益:縁結び、開運招福、厄除けなど

近隣の駅:東山駅(京都市営地下鉄)北へ徒歩10分

       神宮丸太町駅(京阪電鉄)から東へ徒歩15分
       京都市営バス「岡崎公園 美術館・平安神宮前」バス停徒歩3分
                「岡崎公園 ロームシアター京都・みやこめっせ前」バス停徒歩3分
                「東山二条・岡崎公園口」バス停徒歩7分。

 

参拝時間:6時~18時

お守り・お札・御朱印受付時間:7時30分~18時

神苑拝観時間:8時30分~17時30分

 

公式サイト

[公式]Heian Jingu Shrine 平安神宮 | 京都 平安神宮の参拝情報と神前結婚式・七五三など各種ご祈祷、名勝神苑のご紹介

 

シホは、住む家もなく都内のネットカフェで生活していました。ある日、彼女は、初対面の占い師に25年前にも会ったことがあると言われます。そんな時、シホは、風俗の仕事の最中、客から、昔好きだったアイドル女優の星乃よう子に瓜二つだと言われます。気になったシホが星乃よう子について調べると、確かに自分と似ていて、不思議なことに自分の誕生日である1992年4月9日に失踪したまま行方不明になっていることが分かります。さらに、幼い頃に亡くなったと聞かされていた母親が実は生きているという情報が入ってきて...。

 

夜に蠢く、怪しげな人々。ネットカフェの住人たち、もしかしたら目が見えているかもしれない自称盲目の腕は確からしい占い師、不思議な雰囲気を漂わせたネットカフェの店長、謎の赤シャツ軍団、当たり前ような顔をして淡々と夫の死体を運ぶ女性...。どこか漫画チックでフワフワしてリアリティに欠ける感じもありますが、"都会の闇"を映し出すような世界が広がっています。

 

シホは生きているかもしれない母を捜し、自分に瓜二つだと言う星乃よう子のことを調べます。その背景には、自分が何者かを知りたいという欲求が見て取れます。シホが本当の母親が一度はアイドルとして世に出た人物だった可能性に気づいた時、彼女の中に"すごい親がいる"と思えることへの期待が湧き上がったのでしょうか。自分の出自がよく分からないことへの心もとなさが、彼女を自分探しへと駆り立てたのでしょう。その辺りの土台の部分は面白かったのですが、作品として魅力的なものに仕上がっているかというと疑問が残ります。

 

ごくごく日常的な場の中にあるミステリーチックな要素を取り上げた辺りも面白かったですし、自分とそっくりな過去の人物を捜すという設定も興味深かったです。けれど、シホの心情の変化や、彼女が何に駆り立てられ、何を乗り越えていったのかといった部分の描き方が薄く、折角の設定の面白さが削がれてしまった感じがしました。

 

そして、最終的な着地点は、よくよく考えてみれば、本作のテーマに沿った巧い形にまとまっていたと思うのですが、あまりにありきたりと言えばありきたり。そして、「今が大事」とセリフとして繰り返されたことで、ラストに向かうエネルギーとラストの爽快感が薄くなってしまった気がします。今を精一杯生きることの大切さ、人と人とが繋がることの大切さ、そに帰着したこと自体が本作の救いであり、きちんとそこに辿り着いてはいたと思います。もう少し、あちこちに散りばめられた様々な要素を丁寧に回収し、「今が大事」のセリフをもっと最低限に抑えたら、結末に至った時の満足感がもっと高まったのではないかと思います。

 

 

公式サイト

映画『フェイクプラスティックプラネット』 (fpp.tokyo.jp)

上野の国立博物館で開催中(2021年4月13日~5月30日)の特別展です。新型コロナウイルス感染防止ということもあり、時間帯での予約が必要となっています。事前にネットで予約をして行ってみました。

 

鳥獣戯画の甲乙丙丁、全4巻の全てが一度に公開されるのは初めてとのこと。会期を通して全巻公開されています。

 

当然のことながら、人気の展示になることは十分に予想できます。博物館に到着したのは13時過ぎでしたが、博物館の入り口には「当日券は完売」との表示がありました。(入場の時間帯が指定されているのは特別展のみ。特別展のチケットで予約時間に関わらず通常の展示を観ることができます。)

 

午後の時間帯ということもあったのでしょうか、意外に混雑している感じがしました。入口で15分程度並びました。結構、陽射しが強い日で、あまり日光を遮るものがなかったので暑かったです。これからの晴れた日は日傘必須でしょうし、雨の日は辛いかもしれません。

 

入館してからもそれなりに混雑はしています。他の人に接触するレベルではありませんが、適切なソーシャルディスタンスを取れる状態ではありません。

 

鳥獣戯画の原画は、甲乙丙丁の順番に展示されています。(観る順番は順路通りでなくてもOKということになっています。)一番人気は、甲巻で、ウサギとカエルが相撲をしたりといった有名な絵が多く含まれています。甲巻は、動く歩道に乗って観ることになりますが、割とゆっくり動いていて、結構、しっかりと観ることができて満足感ありました。

 

乙巻には、16種類の動物が登場し、動物図鑑のような感じになってます。甲巻のように擬人化された描き方にはなっていません。馬や牛、犬といった馴染みの深い動物も登場しますが、霊亀、麒麟や龍などの想像上の動物も登場します。

 

丙巻には、囲碁や将棋、にらめっこ、闘鶏などの勝負ごとに興じる人間たちが登場する人物戯画と祭りなどを楽しむ動物たちが描かれる動物戯画からなります。甲巻よりも動物たちの表情が生々しい感じがします。

 

丁巻は人物の描写が主体となっています。おおらかでありながらスピード感のある太めの線で描かれ、漫画チックな雰囲気になっています。甲巻や丙巻で動物たちが行っていた法会や験競べを人間に戻して描かれている部分もあります。

 

一番の混雑は、やはり、甲巻。ここが動く歩道での鑑賞になっていたのは良かったと思います。甲巻を観るための列は、少々、長くはありましたが、順路にも様々な工夫が施され、待ち時間もそれほど苦にはなりませんでした。

 

鳥獣戯画そのものだけではなく、その成り立ちなどに関する展示も工夫されていて、堪能できました。

 

最後には、鳥獣戯画が伝えられてきた京都北西に位置する栂尾の高山寺と鎌倉時代初期に高山寺を再興させた明恵上人に関する展示がありました。明恵上人ゆかりの品々も多数展示されているのですが、中でも明恵上人が愛玩したと伝えられている木彫りの子犬がとても可愛らしかったです。

 

特設の売店でも豊富な関連のグッズが売られていました。全4巻をデザインしたマスキングテープを買ってしまいました。会期中にもう一回行きたいかもです。

 

 

公式サイト

東京国立博物館 - 展示 日本の考古・特別展(平成館) 特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」 (tnm.jp)

親友同士で30歳のマティアスとマキシムは、友人が監督する短編映画でキスシーンを演じることになります。そこでキスをしたことをきっかけに、2人は今まで封印してきた相手への想いに気付きます。婚約者のいるマティアスは親友への予期していなかった感情に戸惑い、マキシムは長年の友情が壊れることを恐れ...。

 

将来を約束された有能な弁護士で出世頭なマティアス。荒んだ生活をし、彼のストレス源となっている母から逃げるようにオーストラリアへ行こうとしているマキシム。彼と母との関係の描写からは、マキシムの恵まれない子ども時代が想像され、マティアスとは対照的な背景が見えてきます。

 

30歳。一般的には、社会に出て10年前後といったところでしょうか。学校を卒業して就職していれば、もう中堅どころ。仕事に対する評価が定まってくる頃かもしれません。その道のスペシャリストとして生きていけるのか、ほどほどの人生に満足していくべきなのか、何とかリセットして挽回することを考えるのか...。2人ともそんな微妙なお年頃。先が見えてきたような、まだまだ混迷の中にいて闇を抜けられずにいるような...。

 

中二病を患うには、ちょっと大人な30歳。本物の"中二"と違って、背負っているものは大きく、感情に任せて放り出すこともできません。社会の中で生きるしかない大人たちにとって、感情を最優先させて"正直に生きる"道は選びにくいものです。けれど、だからと言って、感情を押し殺したまま社会に自分を合わせていくのも辛いところ。

 

出世街道まっしぐらで光に包まれていながら満たされない様子のマティアスと家族に恵まれない中で育ってきた欠落を抱えたマキシム。一見、対照的でありながら、どこか、似た者を抱えていたということなのかもしれません。

 

マティアス、マキシムの双方にスポットを当てながら物語が紡がれます。けれど、どちらに対しても焦点の当て方が緩い感じで、どちらにも感情移入しにくかったです。2人の関係が直接的に描かれる場面も少ないため、お互いの中にある葛藤もよく伝わってきません。

 

結末に至るまでに、それぞれが何を乗り越えたのかがあまり見えてこず、また、あまりにありきたりな終わり方が中途半端な感じがしました。飾り気のないサラッとした語り口は心地よいのですが、全体にアッサリしすぎているような物足りなさが残念でした。

 

 

公式サイト

映画「マティアス&マキシム」公式サイト 2020年9/25公開 (phantom-film.com)

伏見稲荷大社の千本鳥居を抜けていく途中の丘に鎮座しています。

千本鳥居を抜け先に進むと奥社があります。その手水の横に稲荷山の参道があります。少し進むと左手に根上がり松さまのお社があります。そのお社の向かい側に分かれ道があり、そこを進んでいくと伏見神宝神社のお社があります。鳥居の前には左右に狛犬が鎮座しますが、本殿前には左右に天龍、地龍が置かれています。

 

国内最古の神器とされ、物部氏の祖神、饒速日尊が天上よりもたらされたと伝えられる十種の神宝(沖津鏡、辺津鏡 、八握剣、生玉、死反玉、足玉、道反玉、蛇比礼、蜂比礼、品物比礼)を奉安すると言われる古い神社で、創祀は平安期に遡り、かつては稲荷山上に祀られていました。

仁和年間(885年~889年)、宇多天皇が大神宝使を発遣するなど、皇室の信仰も篤かったのですが、政変などにより中世以降は廃れていきましたが、1957年(昭和32年)に再建されました。

 

境内には龍頭社があります。ここに祀られる龍頭大神はかぐや姫が求婚者に要求した"龍の玉"の持ち主です。

 

コロナ以前は、常に国内外からの観光客でごった返す伏見稲荷大社ですが、神宝神社まで参拝する人は左程多くなく、落ち着いた雰囲気の中でゆったりとした気持ちでお詣りすることができました。

 

 

2017年(平成29年)3月10日拝受

 

伏見神宝神社(ふしみかんだからじんじゃ)

御祭神:天照大御神

近隣の駅:伏見駅(JR)徒歩15分

        伏見稲荷駅(京阪電鉄)徒歩15分

アタクチの大事なオシゴトのひとつは、ダイエットのお手伝い。

 

血圧とか、中性脂肪とか、コレステロールとか、病気でアタクチのお世話ができなくなると困るから、健康のお手伝いするのよ。

お母しゃんやお父しゃんがおデブにならないように、毎日、頑張ってるの。

 

 

お散歩の時間よっ!

 

はい、抱っこして!!

 

さぁ、歩きましょっ!!!

ペドロ・アルモドバル監督の自伝的な要素を含んだ作品。

 

サルバドールは世界的な映画監督として活躍していましたが、脊椎の痛みが消えず、心身共に疲弊し、引退同然の生活を送っていました。母親のことや幼少期に引っ越したスペインのバレンシアでのことなどが、度々、脳裏に浮かんでくるようになり、過去に想いを馳せることが増えてきます。そんなある日、32年前に撮った作品の上映依頼が舞い込み...。

 

年齢を重ね、そろそろ人生が終わっていくことを意識するようになると、自然と過去が蘇ってくるものなのかもしれません。過去のエピソードというのは、時間の流れの中でそれに伴う痛みや苦しみなど負の面が洗い流され、実際よりも美しく甘いものに変化することが常ですが、それでも、胸にチクリと刺さる棘もいくつかはあるものです。

 

確執を抱えたまま交流を絶ってしまった過去の作品の主演俳優、貧しかった少年時代の母との生活、職人をしながらも絵を描くことに情熱を持っていた青年との交際、生活を共にした男性との恋愛...。現在の描写に彼の人生を形作るエピソードが絡められ、過去を振り返ることで、生きる力や映画への意欲を取り戻していく様子が丁寧に描かれます。

 

長く生きていれば、消したくなるような過去がいくつかはあったりするものです。普通、"一点の曇りもない"とはならないことでしょう。けれど、どうしようもない痛みや苦しみ、大きな傷も、今を構成するかけがえのない一部なのです。仮に過去の一部を消すことができたとしたら、現在も変わってしまうことでしょう。

 

どんな傷みであったとしても、二度と振り返りたくないような過去であったとしても、それをなかったことにすることはできません。そして、それは、現在の自分を作る大切な一部なのです。目を背けたくなる部分を含め、過去を受け入れることで、本当の意味で自分を受け入れる、自分自身の人生を歩み始めることができるのかもしれません。

 

そして、負の面を含めて過去を愛情をもって受け止めることができれば、人は、他人をも、自分自身をも赦せるようになるのかもしれません。

 

サルバドールの再生の物語は、年齢を重ねても、心身の衰えが目立ち始めても、光に向かって歩めることを伝えてくれているようでもあります。

 

如何にもスペインという感じがする光が美しく使われた映像も印象的で、物語の味わいを深めています。地味な作品ですが、穏やかな幸せを感じさせてくれる作品になっています。

 

 

公式サイト

2/17(水) Blu-ray発売!「ペイン アンド グローリー」公式サイト (pain-and-glory.jp)

京都観光のポスターなどにもよく写真が使われていますが、山中に約1万基あると言われる赤い鳥居が並ぶ風景は一度見たら忘れられない印象的なものです。コロナ禍前は、海外からの観光客を中心とした多くの参拝者で常に賑わう京都観光の目玉でした。願い事が「通る」あるいは「通った」御礼の意味から、鳥居を感謝のしるしとして奉納する風習が江戸時代以降に広まったことからこうした風景が生まれたそうです。

 

全国に約3万社あると言われる伏見稲荷神社の総本社で、京都盆地東山三十六峰最南端の霊峰稲荷山の西麓に鎮座します。元々は、稲荷山の三つの峰をそのものを神として崇拝したことに始まると言われています。初めは、農耕の神として祀られ、のちに殖産興業の性格が加わり、多くの人々から信仰されました。

 

稲荷大神は、深草において小豪族として勢力を増していた秦氏の秦伊呂巨(具)[はたのいろこ(ぐ)]より、711年(和銅4年)2月初午の日に祀られたと伝えられていますが、詳細については明らかになっていないことも多いようです。

 

清少納言が自らの稲荷詣を「枕草子」に記しているほか、「蜻蛉日記」「今昔物語集」などの古典にもしばしば登場しています。平安時代、東寺(教王護国寺)の造営にあたり、鎮守社となると、真言密教と結び付いてその信仰を拡大、次第に神位を高めて延喜式名神大社に列し、942年(天慶5年)に正一位の極位を得ます。この間、908年(延喜8年)に左大臣藤原時平が三箇社を修営、その後源頼朝や足利義教らが社殿の造営、修造に関わりますが、応仁の乱の際に、すべて焼亡します。その後、社僧による勧進の下で再建が始まり、1499年(明応8年)に再建されました。近世までは、これら勧進僧たちが稲荷信仰の普及や稲荷講の結成に大きく寄与したとされています。

明治政府の神仏分離令により、本願所のほか境内の仏堂がすべて廃寺となります。一方、崇敬者による鳥居の奉納や私的な"お塚"の建立が稲荷山中で盛んに行われ、現在の伏見稲荷大社を特徴づけるものとなります。稲荷祭の最終日には、東寺の僧侶たちが東門(慶賀門)の前に供物を並べ、還幸する下社の神輿に読経をあげる儀式があり、古くから続く両社寺の深い関係が伝えられています。

 

 

伏見稲荷大社御朱印

2017年(平成29年)3月10日拝受

 

 

伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)

御祭神:下社(中央座):宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)
     中社(北座):佐田彦大神(さたひこのおおかみ)
     上社(南座):大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)
     下社摂社(最北座):田中大神(たなかのおおかみ)
     中社摂社(最南座):四大神(しのおおかみ)

御利益:商売繁盛、五穀豊穣、安産、万病平癒など

近隣の駅:稲荷駅(JR)すぐ

       伏見稲荷駅(京阪電鉄)徒歩5分

       市バス「稲荷大社前」バス停徒歩7分

社務所受付時間:8時30分~16時30分(年末年始など変更あり)

御朱印受付時間:9時~15時45分

参拝は24時間可能

 

 

公式サイト

伏見稲荷大社 (inari.jp)

 

記録的な大寒波により凍死者が続出する中、満杯になった緊急シェルターに入れなかったホームレスの集団が図書館のワンフロアを占拠します。自身もホームレスの経験をしており、彼らの境遇を心配した図書館職員のスチュアートは、代わりの避難場所を求めてデモを始めたホームレスたちと行動を共にします。けれど、メディアの報道などでスチュアートは危険人物に仕立てられ、さらには警察の機動隊が出動する騒ぎへと発展してしまい...。

 

アメリカでは、図書館は本の閲覧、貸し出しの業務以外に、ホームレスの社会的支援を行う機関として位置づけられているそうです。日本の感覚では、"ホームレスの集団が凍死を免れるため図書館に避難する"という状況がイメージしにくいのですが、アメリカでは、特に1980年代からは、ホームレスの増加やアメリカ図書館協会の指針を受けて、ホームレスに特化したサービスを提供する公共図書館が増えているとのこと。地域の医療・福祉・住宅サービス等に関する情報資料集の作成、各種行政手続きの申請用紙の設置・配布、福祉関連相談窓口の設置、シェルター内の読書コーナーの設置、ホームレスの日常に即したリテラシープログラムなどが行われているそうです。なので、日中の図書館にホームレスの利用者が少なからず存在するというのは、日常的な風景となっているようです。

 

そして、ホームレスの中にかつて祖国のために命を賭けてヴェトナムやイラクで戦った退役軍人が少なからず存在するというのもアメリカ的ですが、この点は、日本のホームレスの中に高度経済成長を支えた元企業戦士たちが存在するのも同じようなことと言えるのかもしれません。

 

スチュアートが自分が置かれた状況を外部に伝えようとした時に引用したのは、アメリカ文学を代表する作品であり、貧困に苦しむ農民の姿が描かれたジョン・スタインベックの「怒りの葡萄」の一説。この小説は、図書館の自由と利用者のプライバシーを保護する「図書館の権利宣言」を生み出すきっかけともなったそうです。このスチュアートの言葉と、警官の武力介入を防ぎ、図書館から無事にホームレスたちを退出させた手段には、知恵が感じられ、問題の解決法としてスッキリと受け入れることができました。

 

図書館は、生きる手立てを得るための場所。だから、"民主主義の最後の砦"。民主主義の手本であるはずのアメリカの民主主義にも、綻びが目立つようになった昨今ですが、それでも、こうした物語が描けるくらいには、民主的であること、民主主義を守ろうとする意欲が失われてはいないことに希望が感じられます。

 

描写としては、"凍死しそうなほど寒い"感じがあまり伝わってこなかったところなど、演出面で気になる部分もありましたが、題材と解決策の面白さに惹かれました。

 

そして、私たちは、日本で、民主主義を守ることができるのか。そのために手間暇を惜しまず行動することができるのか...。考えさせられる作品でもありました。

 

 

公式サイト

映画『パブリック 図書館の奇跡』公式サイト (longride.jp)

先日の猿江神社の"桜参りの御朱印"について書きましたが、今回は、"葉桜の御朱印"です。昨年も、桜の御朱印に、"桜色"と"葉桜色"の2バージョンがあったのですが、今年も時期を少しずらして2色が頒布されました。

 

デザインはそのままで、右側の「深川」の文字と桜の花のスタンプ、左上の「神猿と干支」のスタンプの色が変わります。

 

桜参りの御朱印(葉桜色)

 

 

挟紙も葉っぱが出ています。

 

 

公式サイト

猿江神社 (oo7.jp)