アルゼンチンの小さな田舎町。2001年、町に住む元サッカー選手のフェルミンたちは、放置状態の農業施設を復活させようと皆で貯金を出し合い、農協を立ち上げようとします。その資金を銀行に預けた翌日、金融危機に見舞われ預金は凍結されてしまいます。さらに混乱につけ込んだ銀行と弁護士に金を騙し取られ、無一文になってしまいます。彼らは奪われた財産を取り戻そうと...。

 

大金を失い、愛する妻まで失ったフェルミン。失意の彼は、すぐに反撃に転じるわけではありません。1年はほぼ引き籠り。そんな彼を温かく見守り支える周囲の人々。人と人の繋がりの温かさが伝わってきます。復讐が始まることを知っていて観たわけですが、行動が開始されるまで、1年が経過します。まぁ、実際問題、突然の悲劇に落ち込んでしまったわけですから、そうそう、すぐに反撃に転じるエネルギーが湧いてくるわけではないでしょう。落ち込むフェルミンの姿にリアリティがあります。

 

権力も法的知識もない庶民が、圧倒的な力を持つ側の人間に対抗するには、普通には考えられないような奇想天外な作戦を練り、地道に手間暇をかけて努力を重ねていくしかありません。

 

ちょっと笑える要素も取り入れながらも、手堅く計画を進めていく辺り、なかなか巧く作り込まれている感じがしました。基本的なストーリーの流れはありがちなものですが、丁寧な作りで楽しめました。

 

どことなく田舎っぽいのんびりとした空気感を漂わせながらも、フェルミンたちの行動はなかなかに大胆で、そこからも、彼らがいかに追い詰められ、いかに切羽詰まって、真剣に計画の実行に取り組んだかが伝わってきました。

 

フェルミンが計画を練る際に参考にした映画が「おしゃれ泥棒」だという辺りもなかなか気が利いています。

 

邦題はもう少し何とかならなかったものかと思いますが...。それは、作品の内容とは関係ないので...。

 

 

 

公式サイト

映画『明日に向かって笑え!』公式サイト (gaga.ne.jp)