サンフランシスコ空港では、映画のロケが行なわれていました。フランスの映画女優フランソワーズは、不倫の恋に燃える人妻を演じていました。撮影を終えたロケの一行は、ハリウッドの撮影所に移ります。この映画の音楽を担当しているアンリに誘われ、ホテルのバーで楽しい夜を過ごしたフランソワーズは、アンリの気さくな人柄とユーモアに惹かれます。やがてロケ撮影が終り、休暇となり、アンリは、フランソワーズをラスベガスに誘いました。アンリには妻、フランソワーズには夫がおり、それぞれ、パートナーとは毎日決まった時間に電話をしていました。2人にとって割り切った関係だったはずでしたが、自然と本物の恋に発展していきます。フランソワーズはいったんは家族のもとに帰りますが、家庭には断層ができていて...。

 

所謂"ダブル不倫"です。2人ともそれぞれの家族に毎日電話をして、嘘の連絡をしています。家族との遣り取りの中に、ふと我にかえる瞬間が見えてきたりもしていて、2人の関係のこのまま続けていていいのか疑問に感じたり、例えパートナーを裏切ることになっても"本物の恋"に身をゆだねることこそが自分に正直に生きる道だと考えたり...。不倫関係から離れたくない想いと、不倫への後ろめたさの間を揺れる心情が丁寧描かれ、それが、ラストの何とも言えないフランソワーズの表情に繋がっていきます。

 

このフランソワーズを演じるアニー・ジラルドのエンディングの"本物の恋"を喪った哀しさとアンリに依存してしまっている自分の愚かさへの自覚が同時に表現されていて、秀逸。印象的なラストでした。

 

フランシスレイの音楽も2人の間にある愛を上手く表現して耳に残ります。