「別冊文藝春秋」2016年7月号から2018年1月号に連載され、文芸春秋社から2018年5月31日に刊行され、第159回直木賞(2018年上半期)を受賞した島本理生の同名小説を映画化した作品。真木よう子主演でドラマ化され、2020年2月にNHK BSプレミアムで放送されています。原作小説は未読、ドラマは未見です。

 

アナウンサー志望の女子大生、聖山環菜が、父親を刺殺したとして逮捕されます。公認心理師の真壁由紀は、環菜についてのノンフィクション執筆の依頼を受け、環菜との面会や手紙のやり取りを重ね、彼女の周辺の人々を取材します。由紀は、環菜の過去を知るにつれ、彼女に自身を重ねるようになり、やがて、由紀は、心の奥底に押し込められていた記憶と向き合うことになり...。

 

取り立てて、何かが凄く悪いというわけではないのですが、全体に薄くて軽い印象を受けてしまいます。

 

本作では、環菜の事件の真相究明と、由紀が過去と向き合う過程がテーマとなっていると思うのですが、由紀の物語に比重が偏り過ぎていて、環菜の事件が背景に追いやられてしまった印象を受けました。もっと、環菜の物語を前面に押し出し、由紀の物語とのバランスを取って欲しかった感じがしました。

 

そして、環菜の物語にしても、由紀の物語にしても、どこかで見聞きしたことがあるような、ありきたりな物語が当たり前に描かれている感じがして、それも、物語の印象を薄めてしまっているのかもしれません。特別に悪いということではないのですが、残念な作品です。

 

ただ、出演陣は良かったと思います。特に環菜を演じた芳根京子が出色。心情の変化に説得力があり惹きこまれました。我聞役の窪塚洋介も画面に登場するだけで、そこに佇んでいるだけで味わいを感じさせ印象的でした。由紀を演じた北川景子はやはり美しくて、眼福。

 

 

公式サイト

映画『ファーストラヴ』公式サイト (firstlove-movie.jp)