創建時期は不明。古くは岸稲荷と称されていました。荒川の岸に鎮座したことが由来といわれています。康平年間(1058年~1065年)には源頼義が"関東(陸奥国まで含む東国三十三国)稲荷総司"として崇敬していました。

 

1180(治承4)年には源頼朝が源義家の腹巻(鎧の一種)や薙刀等を奉納したとされ、また後の当地の領主、小田原北条氏の崇敬も篤かったといわれています。

 

江戸時代は、近隣の王子神社とともに徳川将軍家祈願所の一つに指定され、1634年(寛永11年)、1703年(元禄16年)、と幕府による社殿造営がありました。

 

現社殿は1822年(文政5年)、十一代将軍家斉が寄進したものです。本殿は、第二次大戦中の1945年(昭和20年)年4月13日の空襲により大破し、1960年(昭和35年)に再建されています。

 

大晦日に稲荷の使いである狐が関東中から集まり、近くの榎の元で身なりを整え、この神社に初詣をしたという伝説が遺されていて、それにちなんで大晦日から正月にかけて"狐の行列"が行われ、北区の冬の風物詩となっています。また、江戸時代から、2月の午の日には凧市が開かれ、火事除けの"火防の凧"が売られ、多くの参詣者で賑わいます。

 

国認定の重要美術品であり柴田是真の出世作の絵馬"額面著色鬼女図"と谷文晁の龍図が正月三が日と2月の午の日に公開されています。

 

落語"王子の狐"の舞台にもなっているほか、大晦日から正月にかけて行われる"王子 狐の行列"や初午祭凧市の祭事には多くの参詣者を集めています。 

 

 

2016年(平成28年)5月26日拝受 書置

 

 

王子稲荷神社(おうじいなりじんじゃ)

御祭神:宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)

      宇気母智之神(うけもちのかみ)

      和久産巣日神(わくむすびのかみ)

御利益:商売繁盛、火防守護、五穀豊穣など

近隣の駅:王子駅(JR、東京メトロ)徒歩7分

        王子駅前駅(都電荒川線)徒歩8分