坂東三十三箇所。第14番の弘明寺。

 

坂東三十三カ所を順番に巡っていくと、こちらが、都心部から公共の交通機関で楽にお参りできる最後のお寺ということになるかもしれません。京急本線弘明寺駅から徒歩3分。横浜市営地下鉄駅から徒歩5分。お寺の門前には、昭和の香り漂う商店街があり、活気があります。

 

横浜市最古のお寺で、聖武天皇の勅命を受け、行基により、737年(天平9年)に創建されたと伝えられています。鎌倉時代には源家累代の祈願所とされ、戦国時代には北条早雲から寺領を、江戸時代には歴代将軍から朱印地を賜り、大寺院となりました。けれど、廃仏毀釈による公有地化で北側の大半(現、弘明寺公園)を横浜市に譲渡し、北側には湘南電気鉄道(現、京浜急行電鉄)弘明寺駅が開業、更に駅周辺では寺自身が民有化をすすめたことなどにより、寺有地は過去の約2割と縮小しています。

 

御本尊の木造十一面観音立像(弘明寺観音)はケヤキの一木造りで、鉈彫りの典型的な作例として有名。平安時代の作と伝えられ国の重要文化財に指定されています。拝観料が必要となりますが、内陣に入ることができ、御本尊を直に拝むことができます。

 

本堂は、1044年(寛徳元年)に建てられ、1766年(明和3年)に再建されていますが、その際、1044年の建物の古材が床材として使用されています。

 

天候が悪かったせいか、それ程、混んでいるという感じではありませんでしたが、参拝の人が絶えず、祈りの場として、今に生きるお寺であることが感じられます。弘明寺観音友の会(護摩行、諸祈願、お加持、供養などの案内が行われる)、病苦研究会(様々な病気で悩む方やその家族に、仏教の立場からどのようなケアが出来るのかを考え実践していくことを目的とする会。横浜近郊の高野山真言宗寺院の有志の僧侶が中心となり発足。)、弘明寺観音巡拝の会(各霊場や仏跡、名刹等の巡拝旅行をする会)が作られています。

 

2018年(平成30年)12月23日拝受


瑞應山(ずいおうざん) 蓮華院(れんげいん) 弘明寺(ぐみょうじ)
宗旨:高野山真言宗
本尊:十一面観世音菩薩
所在地:神奈川県横浜市南区弘明寺町267

公式サイト

http://www.gumyoji.jp/