1977年、軍事独裁政権下のアルゼンチンでは、反体制派の活動家を捕らえラプラタ川に生きたまま突き落す〈死の飛行〉という処刑が行われていました。パイロットとして非情な任務を拒否したものの囚人たちを救えなかったコブリック大佐は軍から逃亡、ブエノスアイレスから離れた田舎町コロニア・エレナに住む友人アルベルトに匿ってもらいます。農薬散布の仕事をし、日用品店で働くナンシーと出会い、第二の人生を歩み始めますが...。

 

まぁ、映画にありがちな題材ではあります。不本意で非人道的な仕事に嫌悪感を抱いてそこから抜け出し新しい生活を築こうとするけれど妨害に遭い自由を勝ち取るために闘う。そして、そこにお約束のラブロマンス。

 

逃亡先で身元がばれるまでにサスペンスがあり、窮地に追い込まれた主人公が危機にどう対処するかで物語が盛り上がるはずなのですが、全体に物語のテンポも悪く、緩い感じで、緊張感には欠けます。

 

コブリック大佐を演じるリカルド・ダリンの佇まいは、なかなか渋い感じで悪くなかったですし、その恋人となるナンシーの移動手段が車ではなく馬だったりするところなどいかにもな感じがありましたし、"時代"を感じさせる雰囲気が漂っていて、その辺りは良かったと思いますが、まぁ、普通にある男女の恋物語といったところでしょうか。