屋久島の役場で働く樋口は、データの集計をする日々を過ごしています。ある日、町を挙げて有名な吹奏楽団を招いてコンサートをすることになりますが、やってきたのはアマチュアのグループ。出迎えた樋口も、やってきたオケの面々も、違和感を抱きながらも、コンサートに向けて準備を進めていきます。けれど、役場は東京ウィンドオーケストラを呼んだつもりが、東京ウインドオーケストラを呼んでしまったことが発覚。関係者は大騒ぎになり...。

 

ほのぼのして、クスッと笑える雰囲気とドタバタしながらも緩く進んでいく感じは悪くなかったと思います。

 

けれど、"取り違え"の設定が、あまりにあり得なさ過ぎて...。役所が中心になって動いた企画である以上、事前に契約書を取り交わすでしょうし、その前の何度もやり取りするでしょうし、万が一にも、最初の段階でミスがあっても、どこかで必ず発覚するはず。これだけあり得ないと笑うしかないのですが、全体的な雰囲気は良い作品だっただけ、もったいない感じがしました。

 

本物と偽物をほぼ同数の編成にして、たまたまどこかの空港か港に居合わせて取り違えられ全く別の方向に行ってしまって...という流れの方が自然に観られたような...。

 

それはさておき...。

 

招いた側と招かれた側のすれ違いやミスが発覚したあとのバタバタ、そして、樋口のちょっとした成長。冒頭とラストで同じセリフを呟くのですが、ラストには、ささやかながら、大人としての意識のようなものが、漂います。

 

そして、オーケストラの面々も、人前で演奏することの緊張と不安と喜びを感じて、これまで経験したことのない風景を見ました。

 

樋口もオーケストラの面々も、これで大きく成長とか、大変身とか、そう簡単には行かないでしょう。けれど、同じように見えて、ちょっと違いう日々を送ることにはなるのだと思います。

 

“取り違えの経緯”以外の面では、結構、楽しめました。内容的に74分という短さも良かったと思います。

 

 

公式サイト

http://tokyowo.jp/