シング・ストリート 未来へのうた [DVD]/マリア・ドイル・ケネディ
¥4,104
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1985年、ダブリン。両親の離婚やいじめで暗い日々を過ごす14歳のコナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)は、音楽好きな兄と一緒にロンドンのミュージックビデオを見ることが唯一の楽しみでした。ある日、ラフィナ(ルーシー・ボーイントン)を見かけて一目惚れ。「僕のバンドのPVに出ない?」と口走ってしまいます。コナーは、彼女を振り向かせるために慌ててバンドを組み...。
 
眩しく真っ直ぐな青春を見ることができる映画です。
 
生まれてからの時間が短い程、将来の選択肢を多く持っているような気がします。そして、成長とともに、自身の能力の限界と現実の厳しさを知るようになり、選べる道がどんどん狭まっていき...。自分で自分の未来を考えるための思考力と情報量を十分に持ちにくい幼い頃よりずっと選ぶ力を持ち得る青春の時期は、自分の将来を選べる最後で最大の時期のようにも思えます。そんな時をどう生き、どう決断するのか...。
 
子どもの頃の夢を叶えられる人は多くはありません。現実は厳しく、その厳しさの中を自分の力で生きていかねばならないとなると妥協せざるを得ない場面も多く、夢だの何だの言っている場合ではなくなったりもします。本物の愛なんてものに巡り合える確率は低く、アツいロマンスもいつかは冷め、やがて、苦悩の元となったりもします。
 
けれど、それでも、夢を追うこと、愛を信じることに対する憧れを捨てきれなかったりもするわけで、本作のようなファンタジーに心惹かれてしまうのかもしれません。
 
ラストは、ついつい大人の目線で、パスポートは?、就労ビザは?何て考えてしまって、汚れきった大人になってしまった自分が情けなくなったりもしました。
 
音楽がとても良く、効果的に使われていて、それも、本作の心地よさを生み出しているのでしょう。
 
青春の気恥ずかしさと、戻らない過去の懐かしさが甦ってくるような作品です。