ウェイド・ウィルソンは、以前は特殊部隊で活躍する傭兵でしたが、引退し、気まぐれに悪者を痛めつけては金を稼いでいました。正義のヒーロー気取りの彼は恋人、ヴァネッサとの結婚も決まっていましたが、そんな時、末期ガンだと診断されます。ある組織にガンを根治できると聞いたウェイドは、彼らに同行して人体実験を受けますが...。

 

恋人と別れたくはないけれど、醜い姿では会えない。恋人と会うために元に戻りたい。ただただひたすらに、そのために突進していく...というオハナシ。基本的にはシンプルなストーリーで、随所にジョークやおふざけが散りばめられていますが、展開も王道なヒーロー物から大きくは外れていません。

 

どこか、もっと、尖がった部分があっても良かったのではないかと思います。もっと徹底的に"正義"の愚かさや滑稽さを抉り出すとか、ベタなラブロマンスに意義を唱えるとか、もうちょっとオーソドックスな枠組みを破壊する力を見せて欲しかったような...。まぁ、その部分でがっかりしたのは、単に期待し過ぎただけなのかもしれませんが...。

 

そして、自分を醜くくしたフランシスへの"復讐"と言っても、フランシスが、余命僅かで否が応でも間もなくヴァネッサと死別することになるはずだったウェイドの病気を治したのは紛れもない事実。病気のままだったら、ヴァネッサとの将来を考えることなどできなかったわけで、ヴァネッサとの時を取り戻せたのは、フランシスのお陰でもあるのです。確かに、ウェイドも大変だったことでしょうし、ヴァネッサを誘拐してしまったりということはあるのですが、ウェイドにとって、フランシスは恩人でもあったのです。ウェイドのフランシスへの仕打ちはやり過ぎなのではないかと...。

 

テンポが速く、頭空っぽで何も考えずに眺める分には、軽く楽しめる作品と言えるのかもしれません。

 

登場人物たちがかなりのスピードで話しています。字幕ではなかり端折っている部分があるのではないかと思います。それでも、結構、笑える部分があったのは、翻訳者のウデ、でしょうか。多分、相当にしっかりと米語を理解していないと分からない部分もある作品なのだと思います。そういう意味では、本作の本当の魅力を理解することはできなかったということなのかもしれません。