AKIRA 〈DTS sound edition〉 [DVD]/岩田光央,佐々木望,小山菜美
¥1,890
Amazon.co.jp


SFコミックを原作者、大友克洋自身が監督を務め、映画化した作品。かな~~~り前ですが、原作を読んだことがあります。


2019年、第三次世界大戦から復興したネオ東京。ハイテク技術で支えられた人工的なメガロポリスでは、最高機密、"アキラ"を巡り、アーミーとゲリラが激しい戦いを繰り広げていました。ある日、バイクで転倒し、負傷した鉄雄は軍の研究室へ連れ去られます。そこで、彼は"力"に覚醒。鉄雄を助け出しにきた金田とともに、"アキラ"を巡る戦いに巻き込まれていき...。


原作のコミックは、「週刊ヤングマガジン」1982年12月20日号から1990年6月25日号にかけて連載されています。連載開始は、物語の時代設定の37年前。この時点で、"2020年東京オリンピック"を予言している冒頭のシーンから引き込まれます。


幸い、"第三次世界大戦"については、本作の予想は外れていますが、ところどころで、ドッキッとさせられる部分("アキラ"対策の費用について遣り取りされる場面などを見ていると、"アキラ"を"原発"に置き換えてみたくなったり...)があります。


さすがに、原作者が監督しているというだけあって、かなり、原作の雰囲気は保たれていると思います。けれど、やはり、結構な長編を2時間程度の映画に纏めるという作業は難しかったのだと思います。いろいろと設定を変えたり、ところどころ削ったり、工夫はされていますが、登場人物たちを取り巻く状況が変化していき、いくつもの山を越えていく躍動感を表現するには、2時間という時間は、あまりに短かったのでしょう。原作のストーリーが持っていた躍動感が損なわれた分、その裏に隠れていた物語自体の平凡さが目立ってしまった感じもします。


映像が見事。映画の製作から四半世紀が経った今でも、古びた感じがしません。画の動きも実に滑らかで、細部まで凝りに凝っています。


かなりグロテスクなシーンもあるし、窒息死しそうな程の悪臭が伝わってくるようだし、やたらと人が死ぬし、ガンガン破壊されるし、ストーリーが抱える重さや暗さを含め、観ていて、かなり疲れを感じたりもしますが、独特の雰囲気にどっぷり浸った満足感は残りました。


本作の2019年まで、あと6年。もう、すぐそこです。さて、私たちの近い未来には、何が待っているのでしょうか...。そういえば、"2001年宇宙の旅"の2001年から、すでに、12年経っているわけですが...。