完全なる報復 DVD/ジェラルド・バトラー,ジェイミー・フォックス,コルム・ミーニイ
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舞台はフィラデルフィア。ある夜、エンジニアのクライドは、自宅に侵入してきた2人組みの強盗に、目の前で妻子を惨殺され、自身も瀕死の重傷を負います。犯人はすぐに逮捕され、起訴されます。けれど、明確な証拠が少ない中、確実に有罪にすることを優先した検事が主犯格の男と司法取引を行ったため、犯人は、有罪にはなったものの軽い刑で済んでしまいます。強盗殺人事件の10年後、犯人が惨殺され、容疑者としてクライドが浮かび、、逮捕されますが...。


クライドは、司法制度の不備を訴え、司法取引に関わった者たちへの復讐を宣言します。そのクライドの復讐心は理解できますし、司法取引という制度を憎む気持ちも理解できます。


そして、繰り広げられる復讐劇。最初の犯人殺害については、復讐というには、バランスを欠く残虐さだったとは思います。けれど、全く理解を超える行動ではありません。クライドの追い詰められた恨みも判るような気がします。


けれど、途中から、その復讐の規模が、やたらと拡大し、司法制度の不備だとかなんだとかといったものも吹き飛び、さらに、そのクライドと"仇"である検事も超法規的...というか、殺人でしょう、あれは...という手段に訴えることになり...。


いろんなことがどうでもよくなり、単なる殺し合いになっていく辺り、違和感ありました。


どんな理由や言い訳があっても、所詮、復讐など非合法な行為。そんなことで目的を達成することはできないし、結局は、恨みが恨みを買う負の連鎖を生み出すだけ...ということなのかもしれませんが...。


確かに、この経験は、検事に大きなダメージを与えたことでしょう。そして、"殺人犯と取引をしてはいけない"ということを肝に銘じたことでしょう。そういう意味で、クライドの検事への"完全なる報復"は完了したといってよいのかもしれません。でも、これだけのことをして検事一人を変えるだけでよかったのか...。


あれだけのことをする力があるのなら、司法制度の改革に向かうような方向性を考える方が納得しやすかったのではないか...。どうも、ストーリーの流れに釈然としませんでした。


逮捕されたクライドと検事の遣り取りなど、緊迫感あってよかったのですが、それが、グズグズになり、あり得なさ満載になっていってしまうのが、なんとも勿体なく、残念。



完全なる報復@ぴあ映画生活