スリップストリーム
¥3,591


Slipstream [DVD]


映画の脚本家、フィリックスは、現実の世界の他、自らが創り出した殺人ミステリーの世界にも生きています。けれど、いつしか、虚構だったはずの世界が、現実の世界を侵食し始めて...。


あぁ...、やっちゃったよね...。そんな印象が残る作品です。


何となく描きたかった世界は分からないでもないし、多分、とても、強い意気込みがあって作られた作品なのだということも分かるような気がするのですが、どうにもこうにも、興味を惹かれません。最後まで観た自分を褒めてやりたい...というより、最後まで観た自分の愚かさを嘆きたくなる感じです。


現実と非現実の境がぼやけてきて、現実が非現実に侵食されていく。映画に限らず、フィクションの世界を作り上げることを仕事とし、そのための行為が日常の大部分を占めていると、そうしたリアルとフィクションの境界の揺らぎというものは、とても、身近なものなのかもしれません。


そして、自分とは違う人間を演じるということは、何者かに憑依されたり、したり、という感覚に近いものがあるのでしょうし、ある種、狂気に近づくような部分があるのかもしれません。


その辺りの感覚は、何となく伝わってくるのですが、製作者側の想いが強すぎて、観る者を置き去りにしてしまっている感じがします。


俳優としては、かなり好きなアンソニー・ホプキンスなのですが...。俳優に専念した方がいい人なのでしょうね。



スリップストリーム(劇場未公開)@映画生活