日本から投資できない事が分かった。理由は最後に記載。
(2019/12/23追記)
◆データセンターとクラウド化の流れ
企業にとっては、サービス提供が目的であり、サーバを所有することは目的ではない。規模の経済を考えれば共同のデータセンターにサーバを置い方が、費用が安くなる。ネットワーク、セキュリティ、耐震設備、予備電源、空調など環境面も充実している。
コストが安く設備も充実しているならサーバは自社で抱える理由はない。
そんな所有からシェアへという流れとプライベートクラウドで注目のデータセンター。
COR DLR EQIX CONE QTS について調べて見ました。
パブリッククラウドという選択肢もあるが、セキュリティやコンプライアンスの観点から、基幹システムは、やはりプライベートクラウドで保有したいというニーズはある様子。
そんな市場の全体感について、まずは軽く触れてみたい。
◆プライベート・パブリッククラウドの成長予測(割合について)
https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS44670519
クラウドの割合が増えていく予想。
既存のデータセンターがクラウドに置き換えられていくという予想になっている。
◆プライベート・パブリッククラウドの成長予測
https://wikibon.com/wikibon-2017-true-private-cloud-forecast-and-market-shares/
前述と同じく、既存の市場を侵食し、クラウドに置き変わっていく予想ではあるが、市場全体が成長していることを表しており、プライベートクラウドも成長が予測されている。
そんな中で、注目のデータセンター5社について調べて見た。
◆5社の時価総額
・Equinix エクイニクス(EQIX)
・Digital Realty デジタルリアリティ(DLR)
・CyrusOne サイラスワン(CONE)
・CoreSite コアサイト(COR)
・QTS Realty Trust キューティエスリアリティ(QTS)
上位2社が大きく、他の3社は3分の1以下の規模である。近年、データセンターリート業界は規模を拡大するため、M&Aが盛んにおこなわれており、下位の企業は買収される可能性がある。
◆主要データセンター5社の俯瞰図
PL(損益計算書)、BS(バランシート)、CF(キャッシュフロー)の観点で、財務的に良さそうな順で紹介していこうと思う。(俯瞰図の左上1段目から右へ順に紹介し2段目を紹介していく。)
◆5社の株価
株価を5年のスパンでみると、
データセンターリートはS&P(赤ライン)よりパフォーマンスが良い。
(QTSは微妙だが…)
REITの値動きは安定していると思っていたが、意外と変動が激しい。配当権利日(図の下「D」のマーク)を睨みながら売買がされているように見える。
◆CoreSite コアサイト(COR)
CoreSite コアサイト(COR)
PL
売上は増加、利益も増加、販管費は減少
利益率は14.31%と高い
BS
株数は増加しており、増資しているが、
株主資本の増加以上に長期負債を増やしているため、
長期負債の割合が増加。
CF
フリーキャッシュフローが増加
まとめ
コアサイトは他と比較して圧倒的に利益率が高い。販管費も減らしていて、コスト削減に対する意識が高い様に見える。データセンターの誘致に積極的な州の減税を活用するなど、経費の削減にも積極的な様子。キャッシュフローも増加しており、優秀である。
懸念点は長期負債の増加だが、配当利回りの高さ4.14%や利益率の高さ14.31%を考慮すると妥当とも言える。(コアサイトのPL、BS、CFはホームデポに似ている。)
もう一つの懸念点は配当性向の高さ(189.6%)だが、増資の影響(増資の株にも配当を出すため)と、REITという性質上、配当性向が高めになっているが、近年は、安定してきており、問題なさそうに思われる。
(データセンターリートの高い配当性向について)
データセンターへの投資を考えて、調べて見たところ、ほとんどの会社がREITという区分で上場している。REITという形態だと、法人税が免除される特典がある。しかし、配当性向が90%以上である必要があり、データセンター関連の株(REIT)は、軒並み配当性向が高い。更に市場が成長に対応するため増資しているが、増資に対して配当を出した結果、収益以上の配当を出すことになり、100%以上(300%等)の配当性向の会社が多い。100%以上の配当性向は一見すると不健全に思えるが、データセンター市場が成長している結果なので、悪い兆候ではないと思われる。
◆Digital Realty デジタルリアリティ(DLR)
Digital Realty デジタルリアリティ(DLR)
PL
売上は増加
利益率 8.2%
BS
株数は増加しており、増資しているが、
長期負債の割合は一定
CF
フリーキャッシュフローが増加
まとめ
デジタルリアリティは売上とフリーキャッシュフローが増加していて良い傾向。増資しているが、増資に対して負債比率が一定になるように調整しており、安定性が高い。
◆Equinix エクイニクス(EQIX)
Equinix エクイニクス(EQIX)
PL
売上は増加
利益率 8.2%
売上高利益率が48.63%が低い
(他社は平均65%)
BS
株数は増加しており、増資しているが、
長期負債の割合は一定
CF
フリーキャッシュフロー「0」で推移
まとめ
エクイニクスは都心にデータセンターを構える傾向が強く、サービスレベルの高さで他と差別化している。その特徴が売上高利益率48.63%の低さ(他社は平均65%)、つまり原価の高さに出ている様子。原価率が高いのは短期的にはマイナスだが、サービスレベルの高さでAWS等と差別化している点は、長期的にプラスに働くのかもしれない。もう一つ特徴的なのは、フリーキャッシュフローが「0」近辺で推移するぐらいの勢いで、利益を設備投資に充てて攻めている事である。(エクイニクスの、この方針はAmazonに似ている。)
増資しているが、増資に対して負債比率が一定になるように調整しており、安定性が高い。このあたりは、他社(コアサイト除く)と同じ傾向。
◆CyrusOne サイラスワン(CONE)
CyrusOne サイラスワン(CONE)
PL
売上は増加
利益は増加 0.15%
BS
株数は増加しており、増資しているが、
長期負債の割合は一定
CF
フリーキャッシュフローがプラスに転じている
まとめ
サイラスワンは企業拡大のための積極的な設備投資の手を一旦緩めて、利益を出しに来た様子。景気の先行きを懸念して事業拡大よりも、利益を出す事に重点を変えてきたのかもしれない。これにより、格付けが良くなれば、長期負債の金利を下げることができ、利益率を上げることができるかもしれない。このまま収益重視の路線に進むのか、再び事業拡大に転じるのか次の一手が注目される。
◆QTS Realty Trust キューティエスリアリティ(QTS)
QTS Realty Trust キューティエスリアリティ(QTS)
PL
売上は増加
販管費は減少
BS
株数は増加しており、増資していたが、
2018年は株数を減らしている。
長期負債の割合は一定
CF
フリーキャッシュフローはマイナス。
まとめ
キューティエスについては、評価が難しい。一般的な業界水準や、前年の実績で言えば、事業の拡大スピードを調整(設備投資を減らせば)すれば、5%~8%ぐらいの利益は出ると推測されるので、現状の赤字は一時的で悲観すべきでないと思われる。しかし、株数を見ると増資から減資になっており、方針が揺らいでいるようにも見える。
M&Aが盛んなデータセンター業界と、会社規模から考えるとM&Aで、どこかに買収されそうにも思える。
(全体のまとめ)
Amazonのように積極投資をするエクイニクス(EQIX)
コストコのように安定的に成長するデジタルリアリティ(DLR)
ホームデポのように負債を増やして高い利益率で成長するコアサイト(COR)
方針転換で利益を出してきたサイラスワン(CONE)
赤字は一時的なものか積極投資の今後が注目されるキューティエスリアリティ(QTS)
データセンターリートは高配当で投資妙味がある。
また市場全体が伸びていて、今後もしばらく伸びそうなので魅力的。
株価は値動きが激しいので、買うタイミングは注意が必要。
一方で気になった点として、
規模の経済の観点からM&Aでの規模拡大は理解できるが、ネットワーク効果は薄いように感じていて、相乗効果の薄いM&Aをしているように感じる。一言でいうと「掛け算ではなく、足し算のM&A」という印象である。
そのような状況下で、高い利益と販管費を削減しているコアサイトにはホームデポと同じ魅力を感じた。
5社ともに売上が伸びているので、差し当たって問題は見受けられないがAWSやAzureとの競合が顕著になってきた時には、エクイニクスが伸びるのかもしれない。
(補足) REITの評価方法 FFO
REITの評価基準では
FFO(Funds From Operation)を使うことが一般的らしい。
FFOとは下記の通り。
FFO=当期純利益-不動産売却損益+減価償却費
解説を読むと、「キャピタルゲインは一時的な利益だから削除する。」「不動産価値は下がらないから減価償却費は足し戻して評価する。」っていう事らしい。
減価償却費を足し戻すことでキャッシュフローを知るという考え方は判るが、「不動産の価値は下がらない」という部分は引っかかる。
一般的な住居・オフィスREITは、一等地の物件が対象のため、不動産価値が下がりにくいというのは理解できる。日本だと馴染みがないが、アメリカの西海岸や東海岸の家賃は、天井知らずに上昇しており、賃貸契約の更新の度に、家賃が上がるのが一般的。そういう環境では、そういう評価基準が妥当かもしれない。(EQIXは例外的に都心の一等地に多くデータセンターを構えており、他と差別化している。東京湾近辺に11個のデータセンターを持つEQIXと、東京湾から20km以上、標高53mの津波心配のない三鷹市を選んだDLRは対照的である。)
しかし、データセンターは、州が減税して誘致するような利用価値の少ない田舎の土地であり、データセンター以外の需要はない。データセンターは技術の進歩にあわせて、設備を刷新して行かないと価値はどんどん減価していく。その意味では、他の企業となんら変わりがいないと思われる。
つまり、減価償却を含めて評価すべきであり、データセンターリートの評価は、普通の企業と同じ基準で評価すべきだと思う。
このような理由から、データセンターリートに、FFOの評価基準を適用するのは妥当でないと考え、今回の評価から外した。
運用会社から金融庁長官に「外国投資信託に関する届出」がされていない米国ETF、米国REITには投資ができないらしい。
米国内での税制の優遇を受けるために、各社はREITという立て付けにしているのだが、日本のルールでは、REITは金融庁長官に届け出が必要になるらしく、その影響で投資ができないらしい。
つまり、米国のルールに対応したら、日本のルールに引っ掛かって、投資できなくなったって事らしい。
(2019/12/23追記)
あーなんだかなぁ…
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2019年09月08日 12:20