トランプ減税で世界に分散していた資金が米国に還流し
過去最高水準の自社株が発生している。
自社株買いの功罪と、今後の見通しについて考察したい。
◆自社株買いのプラス面(自社株買いの利点・妥当性)
株も社債も同じ資金調達であり
株式配当利回り > 社債金利 の状況下では
市場の金利が安い時に低金利で社債を発行し、
自社株買いをして配当の支払いを抑えるのは良いファイナンス。
良い資金繰り判断である。
例えば、3%の配当利回りがある会社が
1%の金利で社債を発行できた場合、
社債で自社株買いをすると金利差2%のコスト削減になる。
株価配当利回り(3%) ー 社債金利(1%) = 金利差(2%)
株価が業績に対して割安になっている状況下、
安い金利で社債を発行し、
その資金で自社株買いをして支払い金利を減らしつつ
株価にテコ入れする場合、
株主、企業ともにWIN-WINであり、
自社株買いの妥当性は高い。
◆自社株買いのマイナス面(自社株買いの欠点・問題)
利益が横ばいでも自社株買いで株を償却すると
一株あたりの利益が向上する事になる。
多くの会社で役員報酬は一株あたりの利益が連動しているため、
一株あたりの利益を向上させる事を目的とした自社株買いの
モラルハザードを誘発させやすい。
自社株買いは
流動資産を活用する良い投資先(開発・イノベーション)がなく、
配当利回りよりも高い成長率を確保する事が困難。という
経営者の見通しを表している可能性もある。
(買う会社の株を選定する際には、
毎年の設備投資額が減ってないかチェックするのが良い)
◆見通し
トランプ減税の効果でアメリカに還流した資金の
資金効率を良くするために一時的に自社株買いが発生している可能性が高い。
既にフリーキャッシュフローに占める自社株買いの割合が高く
継続的に自社株買いが続く状況ではないと考える。
また、法人税率の引き下げにより、
一時的に成長率が下駄を履いた状態になっているため、
高い成長率は続かない事が予想される。
一方で恒久的に税率は下がっているため、底堅い状況ではあるが
去年の様に利益率が伸びる可能性は低い状況にあり、
個人的には、2019年の株価は一進一退でレンジ相場を想定している。