久しぶりの解剖学シリーズの投稿です。

今日は、橈骨神経についての解説です。

 

早速いきますね。

 脊髄から出た神経(今回は橈骨神経)が、どこを走行しているのかを知ることで、症状部位と対応する脊柱の関係や狭窄されやすい部位がどこなのかが理解でき、かつ評価ポイントやアプローチポイントが明確になります。そのためには、解剖の知識は必須です。

 

 

 

 

まずは、橈骨神経の走行です。

 

C5,6,7,8,Th1(腕神経叢)のC5とC6が合流して上神経幹、C7は中神経幹、C8とTh1が合流して下神経幹となる。さらに上・中・下神経幹が前部と後部に分離し、それぞれの後部の神経が合流して後神経束になり、これが腋窩神経と橈骨神経に分離する。

 

 

 さらに橈骨神経は三頭筋裂孔を通過し、橈骨神経溝に沿って上腕骨体を回り込む。上腕骨の外側縁に達すると外側筋間中核を貫き、さらに上腕前面で上腕筋と腕橈骨筋の間を下行し外側上顆の高さで深枝(運動)と浅枝(感覚)に別れる。深枝は回外筋を貫いて前腕の後区画に入り後骨間神経となり骨間膜後方を下行する。浅枝は円回内筋と腕橈骨筋の間を通り、解剖学的嗅ぎタバコ入れの表面で枝分かれして、外側の手背に分布する。

 

 

次に、橈骨神経支配の筋の一覧です。

 

腕橈骨筋(C6-7)

肘筋(C7-8)

上腕三頭筋(C6-8)

長・短橈側手根伸筋(C6-7)

長母指外転筋(C7)

総指伸筋(C7-8)

小指伸筋(C7-8)

長・短母指伸筋(C7-8)

示指伸筋(C6-8)

 

 

 

 さらに、橈骨神経の柔軟性を調べるストレステスト(伸長テスト)もお伝えいたします。

検査法:上肢下垂位において、肩関節内旋、前腕回内、手関節尺屈、母指伸展位、第2−5指屈曲位で上肢を尾側に引き下げる。

判定

・陽性の場合は、橈骨神経の走行に沿って疼痛が誘発

 

 

 

 問診で聞いてほしい内容は、橈骨神経に負担がかかる動作をしているか否か。

橈骨神経は、肩関節内・外旋や肘関節回内・回外動作で伸長刺激がかかるため負担がかかりやすい。職種としては、大工、理美容師、電気工事、医師(手術)、スポーツ選手(特にラケットを使用する競技)など

 

 

 

橈骨神経に関与する運動、痛み、しびれに対して扱うHiPaテクニック集

 ・脊柱テクニック

 ・鎖骨周囲テクニック

 ・QLS周囲テクニック

 ・上腕三頭筋テクニック

 ・肘関節テクニック(外側筋間中隔や外側上顆周囲のリリース)

 ・前腕骨間膜テクニック

 ・手関節・手部テクニック

これらすべてを行うわけではありません。患者様の状態に合わせてこの中からプログラムを組んでいきます。