このブログの読者の方々の中には、人工股関節術を受けている患者さんも多いと思います。

 

突然ですが、自分に入っている人工関節の素材を知っていますか?

 

 

今回の日本人工関節学会に参加して、一番印象に残った報告は、

「ARMD」

(adverse reaction to metal debris の略語)

(通称、アームド)

という合併症についてでした。

 

人工関節の素材の組み合わせの中で、「メタルとメタルの組み合わせ」の方には是非知っておいて欲しいと思います。

 

一般には

「Metal-on-Metal(MoM)人工股関節置換術(THA)は金属摩耗粉が原因で局所的に組織毒性を有することが知られており,偽腫瘍や組織壊死などの金属摩耗粉に起因する不具合はARMD(adverse reaction to metal debris)と総称されている。」

と言われています。

 

以前から、メタル同士の組み合わせでは摩耗粉が生じ、様々な不具合が起きることが知られていました。

 

私自身も何人か、他院で行われた人工股関節の再置換術を行ったことがあります。

 

 

今回の学会で、この「ARMD」に関する報告・発表を3つ程聞いたのですが、私が思っている以上に(私の経験以上に)深刻でした。

 

具体的には、

 

①    術後10年以内に10%近くが再置換術になってしまっている。

②    金属粉が周囲の筋肉を溶解させてしまっており、手術自体が非常に困難な状態になっている。

③    筋肉自体が融解してしまっているので、再置換しても簡単に脱臼してしまう。

 

という問題について議論が行われていました。

 

経験された先生方の話を聞くと、(術者も患者さんも)非常に大変そうでした。

 

 

深刻な状態になる前に、対応した方が良いと思われるので、

自分に使われている人工関節の素材の組み合わせが、「メタルとメタルの組み合わせ」だとわかっている患者さんは必ず定期的な受診をお勧めします。

 

 

(私は、この組み合わせの機種を使用したことはないので、私が執刀した患者さん達は大丈夫です。)