人工股関節術を受けることを考えている患者さんに

「日本舞踊はできますか?」

「ダンスはできますか?」

「ヨガをしてもいいですか?」

など聞かれることがあります。

 

ダンスや舞踊などは形、型が決まっていて、

「こういう姿勢をとらないといけない」

というものですね。

 

人工股関節を受ける際によく説明される、

「こういう姿勢はとらないようにして下さい。」

(つまり脱臼危険肢位を取らなければ大丈夫)

というのとは、ちょっと違います。

(ちょっとわかりづらいですが・・)

 

普通は「できるだけやめておいた方がいいですよ。」と言われるはずです。

「それでも、どうしても続けたい」と言われる方もおられます。

 

「どうしても」という時は、写真やビデオを先生に見てもらうことをお勧めします。

はっきり言って、どんな内容なのかを見ないことには答えようがありません。

 

人工関節には脱臼しない限界の角度が必ずあります。

なので、その限られた角度を活用して必要な姿勢ができるようにしないといけません。

 

具体的には、人工関節の設置位置や角度(場合によっては機種)を工夫してもらって、更に術中に(麻酔下に)必要とされる姿勢で脱臼しないかを確認する必要があると思います。

 

最近の私の経験で言うと、術前に日本舞踊の写真をみせてもらって、危険そうな肢位は術中に確認しました。

術後はちゃんと復帰されています。

 

私の執刀ではありませんが、(私を指導してくれた)佛淵先生の患者さんが社交ダンスを踊っているビデオを見たこともあります。

足をバーっと広げたり、クルクル回ったりされてました。

 

こう話すと、「工夫してもらえばダンスや踊りなどできる!」となりそうですが、それでも術者はあまりお勧めしないと思います。

(合併症を起こす可能性や再手術の可能性が高い手術は、あまりしたくないはずなので・・。)

 

以上です。

少しでも参考になれば幸いです。

(この文章は私の後輩である宮崎先生のお通夜の日に作成し、わざと後日公開されるようにしたものです。今の私の気持ちと思い出を、何か形として残しておきたくて書きました。)

 

私の後輩にあたる、整形外科医の宮崎真樹先生が亡くなりました。

病気によるものでした。

 

20年以上前になりますが、整形外科医が不在だった病院に私一人で赴任することになりました。

当時の佛淵教授からの「年間150件以上の手術ができる病院になったら、もう一人増やしてあげる」という約束を達成し、ついに来てもらった先生が宮崎先生でした。

 

確か、私が整形外科医として7,8年目、宮崎先生が研修医2年目だったと思います。

当時は若手の先生がくじ引きをして、研修したい病院を希望できるシステムがあったのですが、1番か2番のくじを引いたのに私の病院を希望してくれたと聞きました。

もっと条件の良い病院は他にあったのに、学生時代に面識が特にあった訳でもないのに・・・。

 

当時は特に考えもしませんでしたが、今考えると非常にブラックな労働環境だったと思います。

外来はホントに忙しくて、昼食を5分位で済ませ、病棟か手術室へ直行・・。

手術の日は、午後から3件とかは当たり前で、多いときは7件、夜10時過ぎまでやっていることもありました。

空いている病室に泊まったことも何回もありました。

 

毎週のように、病院のスタッフと食事会をしていましたが、その途中で病院から急患の呼び出しを受けて二人で向かうことも度々でした。

 

宮崎先生は性格も真っ直ぐで、みんなから好かれ、本当に信頼できる男でした。

お通夜の会場はかなりの広さだったのですが、駐車場はいっぱいで停めることができず、玄関の外まで人が溢れていました。

まさに宮崎先生の生前の人柄を表現した光景でした。

 

最近はほとんど話す機会はありませんでしたが、私が若く熱かった頃に、共に戦った戦友でもあり、弟のような存在だったと思います。

 

色々書きましたが、気持ちというのはなかなか上手く表現できません。

 

宮崎先生の冥福を心よりお祈りいたします。

人工股関節術後の患者さんに

「杖はいつまで使わないといけないですか?」

「杖はいつはずしていいですか?」

と聞かれることがあります。

 

比較的若い患者さんは、入院中に病棟内での独歩が可能になっていることが多いので、

「自信がついたら外していいですよ。」

と答えることが多いです。

(ほとんど聞かれませんが・・・。)

 

問題は高齢の患者さんです。

人工股関節をしていない人でも転倒などよくされるので、目安や見極めが難しくなります。

 

そういう場合は、

「杖は一生つくつもりでいて下さい。多分、ある日杖を忘れて歩いている時が来ます。その時が杖の離し時です。」

と答えることが多いです。

 

私の外来を受診した際、帰りに杖を診察室に置いたまま出ていく患者さんがいます。

(けっこういます。)

 

「家で杖をどこに置いたか忘れて、夫婦でずっと家中探しましたよ。」

と言われる方もいました。

 

こういう方々は「杖の離し時が来た」と言えるかも知れません。

 

ただし、遠出や長歩きをする時は、折り畳み式でもいいので杖を持っていた方がいいと思います。

両側とも変形性股関節症末期の患者様から、

①  両方とも人工股関節にした方がいいですか?

②  同時にした方がいいですか?

と聞かれることがあります。

 

今回はこれらの質問に対する私の考えを話したいと思います。

 

結論から言うと、患者さんがよほど強く希望しない限りは片方ずつした方がいいと思っています。

 

同時に手術するメリットとしては、「1度の入院で済む」という点があると思いますが、

デメリットとして、

「出血、感染、血栓などの合併症のリスクが2倍(以上)」

「術後の痛みも両側」

「術後の違和感も両側」

「リハビリなど注意点は2倍(以上)」

などが挙げられます。

 

また、もしも「思った手術ではなかった」となった場合の後悔も2倍です。

(もちろん、何事もなかった方もたくさんいると思います。)

 

私の説明で多いパターンは、

「まず片方をしてみませんか?体重がしっかりかけられる軸足ができれば、手術してない方の痛みも和らぐかもしれません。片方の手術を受けてみて、この手術なら反対側もしたい、と思えば反対側の手術をして良いと思います。」

みたいな感じです。

 

人工関節の手術は、患者さんの苦痛を和らげて生活の支障をなくすためのものだと思っているので、片方の手術で済むならそれに越したことはないと思っています。

「最近、ブログの投稿、えらく多いな。」

とよく思います。

 

ここ4,5年、病院を異動する時や、外来・手術の近況報告以外、全然更新していませんでした。

 

昔からこのブログの読者だった方の中には「どうしたの?」と思っている方も多いのでは?

私も思ってます。

 

もともと、このブログは私が佐賀大学を出た、2008年ころに開設しました。

佐賀大学時代に私が人工関節を執刀した、私の患者さん達への情報発信サイトとしてです。

 

私の患者さんは県外の方がけっこう多いのですが、学会などで不在の日時をお伝えしないと申し訳ないと思ったので・・。

 

1度、和歌山の患者さんが受診に来られた日に、私が学会で奈良にいたことがありました・・。

(本当に申し訳なかったと思っています。)

 

また、今でも私の診察希望で、佐賀中部病院(前の前の病院)に来られている(または電話問い合わせがある)ことなどを聞き、「あんまり投稿すると逆に混乱するのでは?」と最小限にしていました。

 

ただ、最近になって、(何故かわかりませんが)質問やフォローされる方が増えるようになり、今に至った次第です。

困っている方の少しでも役立てるようでしたら、しばらく更新を続けようと思っています。