今回は、今でも印象に残っている、私の実体験の話します。

(思い出したので。)

 

 

私が研修医時代は、医者になって数か月で他の病院の当直のアルバイトに行かされていました。

 

今ではあり得ないですが・・・。

 

「当直医必携」とか「当直医ポケットブック」みたいな小さな本だけが頼りという・・・。

 

 

とある病院で当直する時に、1番困ったのが

「救急隊からの情報が、毎回、全然違う」

というか、

「救急隊からの情報が、全く信じられない」

ということでした。

 

その地域だけだと思う(思いたい)のですが、

「受け入れてもらうために、症状を非常に軽く言う」

という慣習?がありました。

(なので、その病院へ当直に行くのが、みんな嫌でした。)

 

明らかな骨折がありそうでも、

「意識は清明で、腕をちょっと打っているみたいです。」

とか・・・。

(とにかく、「意識はクリア」を繰り返し強調。)

 

 

たくさんあった中で、一番衝撃的だったのが、

「交通事故の男性で、意識清明。頭と足をちょっと打っているみたいです。」

と連絡があり、

(怪しいと思いつつも、受け入れました。)

 

当然、男性1人を搬送してくると思っていたら、

男性2人を運んできた時です。

(頭と足は別の患者?)

(一人は、救急車内では担架の横に座っていました・・・。)

 

更に、別の自家用車で、赤ちゃん1人と母親1人も連れてきて、患者は計4人に・・・。

 

(到着してから、「同乗していた家族も来ますんで。」とか軽く言ってました・・・。怒)

 

 

患者 ① 一人は頭を大きくザックリ切っていて、頭蓋骨まで見える深さ・・・

(どこが「ちょっと」?)。

 

患者 ② もう一人は足が完全に変な方向(真横)を向いているという・・・

(明らかな骨折・・・。どこが「ちょっと」??)。

 

確信犯ですね。

 

即座に、自分一人だけで全部の対応は不可能と判断。

 

急いで大学病院に電話して、足の骨折の患者さん②の受け入れをお願いしていたら、

さっきまで号泣していた赤ちゃんがぐったり・・・。

 

(「ウソでしょ?」と思いながら)

念のために頭部CTを撮ったら脳出血が・・・患者 ③。

 

(そして、大学病院からは、「今は一人しか受けることができない」との返事・・・)

 

たまたま病院に来ていた別の研修医に①の頭の縫合をお願いし、

救急車を呼んで同乗。

近くの脳神経外科に寄ってもらって③の赤ちゃん(とお母さん)を降ろし、

②の骨折の患者さんを大学病院へ連れて行くことに・・・。

 

「ちゃんと言ってよ!」

とホントに頭に来ましたが・・・。

 

長い事、医者をしていたら色々あります・・・。

(後日、みなさん、大丈夫だったと聞きました。良かったです。)

 

 

※ 20年以上前のことですが、この記事が削除されている場合、怒られたか、何らかの圧力があったと思って下さい。