苦情に対処できないパリ五輪 | 日置研究室 HIOKI’S OFFICE

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作家の日置俊次(ひおきしゅんじ)が、小説や短歌について語ります。
粒あんが好きですが、こしあんも好きです。

 

  苦情に対処できないパリ五輪

 

 パリオリンピックの開会式は、雨の中で行われました。

 以前から指摘しているように、フランス人は組織化することが苦手です。

 フランスには、とても優れたセンスを持つ少数の人たちがいます。その優れた人たちが運営するか、あるいは運営にその他大勢の人が参加するかで、式典のレベルは大きく変化します。今回はその他大勢が参加したらしいので、問題が多発しています。

 式典は、セーヌ川やエッフェル塔を中心に行われました。ずっと大雨の中に、何時間も選手を立たせたままです。風邪をひいてしまいます。雨に濡れると風邪をひくという発想はフランスにはありませんが、選手は体調を整えることが重要なので、気にする選手は多いでしょう。サッカーの試合ではないのですから、雨が降ってもどこにも屋根がないというのは、どうなのでしょうか。大統領やバッハ会長はずっと屋根の下で座って笑っているというのはどうなのでしょうか。選手は川の上の船で立ったままずぶ濡れというのはどうなのでしょうか。

 以前から指摘していますが、選手村の食堂問題が改善しません。食材がないということです。これは企画や組織化や運営を、その他大勢の人たちに任せてしまったケースです。

 シミュレーションもしませんので、そうなりますし、反省もしませんので、対策も立てられません。夏はフランス人は休みますので、急にコックさんを探しても見つからないでしょう。なかなか、苦情に対処する気がない、反省がないというのは、フランスの現場でしばしば経験することです。

 前回の東京オリンピックでは、選手村の食堂はとても好評でした。食材がないということは起こらず、かなり多様なメニューをいつも展開していました。とり放題のお菓子なども選手が喜んでいましたね。これは主観ではなく、事実として、いくらでも証明の材料があります。

 日本の食堂も最初から批判をする国の人たちがいました。ニュースなどでは「食べない」と怒って批判をしておいて、実際には食堂で喜んで食べている動画が撮影されてしまったり、ばかばかしい話もあります。そういう批判のための批判には、もちろん注意が必要です。

 日本の選手村の食堂は、全体には選手たちの評判は良かったと言えるでしょう。選手たちが撮った動画を見ると、広くてきれいでしたし混んでいませんでしたし、全体を組織化することは、日本人はわりと上手ですね。おもてなしという気分があるので、そこはかなり違いが出ます。まずい点が出てきたら、すくなくとも謝罪をすることでしょう。

 パリオリンピックの選手村の部屋にはエアコンがないですし、猛暑にならなければいいのですが、どうなのでしょうか。改善点が出てもそれを直そうとする人がいないようですし、いったいこれからどうなるのかと思います。

 フランスでは、改善点があったとして、それが一番トップまで伝わっているかどうかが、解決のポイントになります。地位が下の方の人、受付の人、現場の人に何も言っても無駄なのです。

 むかし、パリ発のエールフランスの飛行機で日本に帰国するときのことですが、座席の前に画面がついていますね。これで映画を観たり、機内のお知らせを観たりするわけです。いろいろなことができますが、私はいつも映画を楽しみにしています。

 ところが私の座席の前の画面は、最初から全く点灯せず、黒いままでした。CAの人を呼んで、「まったく機能しない」とフランス語でちゃんと説明しましたが、機械に触ることもせず、調べもせず、「ああ、壊れてるのね」といって、去ってしまい、それで終わりです。私はきちんとしたフランス語で伝え、会話をしましたので、完全に相手は理解しています。謝罪も何もなく、とても不愉快でした。前から知っているけど放置しているということのようです。自分には修理できないから自分には関係ないということです。話していればわかりますが、相手はフランス人(ネイティブ)でしたし、こちらはちゃんとフランス語で話しているわけだから、ひとこと謝罪してくれればかなり気分が違ったと思います。

 フランスはいつもこういう感じです。選手団の皆様のご苦労を考えています。

 報道を引用します。

 

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「日本はかなり効率的だった」選手村の食材不足問題に“生肉提供”を受けた英選手が不満吐露「かなりカオス」【パリ五輪】

7/27(土) 11:01配信 CoCoKARAnext

各国選手が一同に会する選手村。その食堂では食料部族問題が波紋を呼んでいる。(C)Getty Images

 

 ついに開会式が実施され、晴れやかな催しとともに本格的な開幕を迎えたパリ五輪。そんな4年に一度の檜舞台で、身体が資本となるアスリートにとって小さくない問題が起きている。選手村の食堂の「食材不足」だ。

 

【画像】エアコンなしの質素なデザイン? パリ五輪選手村の全容をチェック

 

 開幕に先駆け、7月18日にオープンした選手村には連日各国の選手団が続々と入村。担当スタッフたちの稼働も忙しなくなる中、選手たちからメインレストランの提供される食事量が不十分だという指摘が噴出。1日平均で約4万食を提供する宣言していた調理運営担当の『Sodexo Live!』社と、食材を準備する世界的スーパーマーケットチェーン『Groupe Carrefour』社が謝罪する異例の声明を発表した。

 

 当該企業は改善を誓っているが、やはり運営側の準備不足は否めない。この不測の事態に反発したのが、英国選手団だ。同国のオリンピック委員会で理事を務めるアンディ・アンソン氏は、英紙『The Times』の取材で「いかなる大会においてもいくつかの問題はおきる」と理解を示しながらも、「しかし、選手村の食糧不足は経験がない」と指摘。

 

 さらに「卵や鶏肉、炭水化物といった一定の食料が不足している。それから、食事のクオリティにも問題がある。選手には生肉が提供されているんだ」と食事の品質を含めた選手村の現況に問題提起をしている。

 

「今後数日間で抜本的に見直す必要がある。選手たちの需要が想像をはるかに超えているため、私たちはシェフを雇わないといけなくなった。選手たちは、選手用の食堂で食事を取ること自体を嫌がっている。だから我々は夕食用の食事も用意している状況だ。我々は選手たちが満足に食事をとることで、競技で優位に立てるように努めている。それが最大の問題だ」

 

 選手たちからも不満の声は漏れている。

 

 メインレストランには3300席が設けられているというが、『The Times』の取材に匿名で回答した英国選手は、「食事にかなり苦労している」と吐露。21年の東京五輪と比較し、「日本はかなり組織化されていたし、不満はなかった。でもここは全く組織化されていない」と食堂の回転率の悪さなどに苛立ちを隠そうとしなかった。

 

「ここ数日で大勢の参加者がやって来て、今じゃ食事会場はかなりカオスだ。ピーク時に食事を取りに行くと、簡単な鶏肉料理すらも食べることが難しい時もある」

 

 開幕を迎えてパニックが生じている選手村。抜本的な見直しが求められる中で、運営側はアスリートたちの不満を解消させられるのだろうか。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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「史上最悪の式典」「退屈だ」セーヌ川での入場、世界的歌手の起用、奇抜モニュメントの開会式が波紋。悪天候での決行に苦言も【パリ五輪】

7/27(土) 14:42配信 THE DIGEST

土砂降りの雨の中でパリ五輪の開会式が行なわれた。(C)Getty Images

 

 史上類を見ない開会式が波紋を呼んでいる。

 

 現地7月26日、パリで100年ぶり3度目となるオリンピックの開会式が行なわれた。夏季五輪では史上初めてスタジアムの外で実施された開会式に観客席は満員。セーヌ川沿いをトップアスリートが船でパレードする奇想天外な入場をひと目見ようと約30万人が詰めかけ、世界的人気アーティストのレディー・ガガ、アヤ・ナカムラの登場や趣向を凝らした演出が繰り広げられた。

 

 聖火リレーも超豪華だった。サッカー元フランス代表で母国を初のワールドカップ優勝に導いた英雄ジネディーヌ・ジダン氏をはじめ、「全仏オープン」で史上最多となる14度の優勝を誇るラファエル・ナダル(スペイン)、女子テニスのセリーナ・ウィリアムズ氏(アメリカ/シドニー・北京・ロンドン大会優勝)、陸上競技のカール・ルイス氏(アメリカ/同ロサンゼルス・ソウル・バルセロナ・アトランタ大会優勝)、女子体操のナディア・コマネチ氏(ルーマニア/モントリオール・モスクワ大会優勝)ら金メダリストが勢揃い。聖火トーチをリレーしたのち、最後は柔道のテディ・リネールと陸上短距離のマリージョゼ・ペレク(ともにフランス)の2人が聖火を受け取り、巨大な球体に火をつけると球体が夜空に浮かび上がり、エッフェル塔との美しいコラボレーションを描き余韻を残した。

 

 まさにオリンピックの歴史に刻まれる革新的な開会式となった一方で、海外メディアの評判は著しくない。オーストラリア最大のニュースサイト『ABC.net.au』は「史上最悪の式典に世界が反応」と強烈な見出しを打って、パリ五輪の開会式を一刀両断した。

 

 記事ではまず、「残念なことに、世界が見たものはまったく違うものだった。パリ大会は、まるで高校の文化祭のような音楽発表会の形で開幕し、アスリートたちは色鮮やかなセーヌ川のスペクタクルな影に隠れてしまった」と辛辣な言葉から書き出した。

 

 続けて、「20隻ほどの船の一団が川の視界に入った後、レディー・ガガがムーラン・ルージュにインスパイアされたパフォーマンスで登場すると、雰囲気は一変した。彼女の黒い衣装と明るくメイクアップされた表情は、階段のステージを飾る巨大なピンクの羽の芸術的な一団と対照的だった。彼女のオリンピックのパフォーマンスは、2007年のブリトニー・スピアーズのMTVショー以来最悪だ」と批判した。

 

 また、英国のテレビプロデューサーを務めるジェイソン・リード氏は「世界のトップアスリートが船で入場した件はうまくいったと思うが、正直に言おう。変なカット割り、モニュメント、雰囲気がすべてダメだ」とテレビマンとしてシビアな感想を述べると、「フランスには申し訳ないが、この川の演出は私には合わない。延々と続く船の行列は退屈だ。レディー・ガガでも救えない」と低評価を下した。

 

 さらに仕方ないとはいえ、悪天候での決行についても苦言を呈している。「選手たちがずぶ濡れになり、夜になるにつれて天候はどんどん悪化していった。彼らがスタジアムを歩き、オリンピックの雰囲気に浸り、母国の旗を振って入場するのを見るのではなく、小雨が降る中、200隻以上のボートがゆっくりと川を下っていくのを我慢して見なければならない」と言及すると、「いったい誰のアイデアだ?これは史上最悪の開会式として語り継がれるだろう」と断じた。

 

 日本では27日の午前2時半にスタートしたパリ五輪の開会式。超異例と言える入場行進、数々のセレモニーは世界的な賛否を巻き起こしている。

 

構成●THE DIGEST編集部

 

 

 

天天快樂、萬事如意

  みなさまにすばらしい幸運や喜びがやってきますように。

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