猫の葬儀 | 日置研究室 HIOKI’S OFFICE

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作家の日置俊次(ひおきしゅんじ)が、小説や短歌について語ります。
粒あんが好きですが、こしあんも好きです。

 

  猫の葬儀

 

 梅さんの詩をもうひとつ。「猫の葬儀」という詩も好きです。バイギョウシンは、素敵な人。

 

   猫祭   梅堯臣

 

  自有五白貓

  鼠不侵我書

  今朝五白死

  祭與飯與魚

  送之於中河

  呪爾非爾疎

  昔汝噛一鼠

  銜鳴遶庭除

  欲使眾鼠驚

  意將清我盧

  一徒登舟來

  舟中同屋居

  糗糧雖甚薄

  免食漏竊餘

  是実爾有勤

  有勤勝雞豬

  世人重駆駕

  謂不如馬驢

  已矣莫復論

  為爾聊欷歔

 

  猫のウーパイ(五白)よ、お前を飼ってから

  鼠は私の書物をかじらなくなった

  それなのに今朝、お前は死んでしまったね

  ご飯と魚をお供えするよ

  お前を川に水葬したのは、穢れをはらって来世を祈ったからで

  けっして粗末にしたのではないからね

  昔、お前は鼠を一匹くわえてきて

  ニャーニャー鳴きながら庭を駆け回った

  あれは鼠たちを脅かして

  家から追い出そうとしてくれていたんだね

  われわれはいわば同じ舟に乗り込んで

  いつもずっと一緒にいたんだよね

  お米は満足にはなかったけれど

  ネズミにかじられたり小便をかけられたりしなかった

  本当にお前ががんばってくれたおかげだ

  ご馳走となる鶏や豚よりもお前の働きがありがたかった

  世間では車を引ける馬や驢馬のほうかましだというのだが

  ああ、もう何も言う気にならない

  お前を思ってしばらくしくしく泣いているよ

 

 適当に意訳しています。私はすてきな詩だと思います。猫の「五白」は白いまだら模様なのでしょうか。うちのダルメシアンを思い出させます。

 ところで、歌の世界では、私が犬をかわいがる歌を作るので、気持ち悪いと批判する人がいるのです。きっと動物と心を通わせたことがないのでしょう。その人たちとはできるだけ離れて暮らしたいと思います。

 

 

天天快樂、萬事如意

みなさまにすばらしい幸運や喜びがやってきますように。

   いつもブログを訪れてくださり、ありがとうございます。