こころがまえの問題 | 日置研究室 HIOKI’S OFFICE

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作家の日置俊次(ひおきしゅんじ)が、小説や短歌について語ります。
粒あんが好きですが、こしあんも好きです。

 

  こころがまえの問題

 

 昔の話ですが、日常のちょっとしたことについて、大きなヒントを学んだことがあります。それは一生の財産になっています。

 大げさに聞こえるかもしれませんが、本当にそうなのです。

 都会生活のコツというような本を読んでいて、そこに大切なことが書いてありました。

 都会で、人ごみの多い時、人の流れをよこぎって、向こう側に出たいときにどうするかということです。向こうに行かないと改札にたどり着けないということがよくあります。

 私は田舎から上京して独り暮らしをしていましたが、人ごみでよく人にぶつかってしまうのです。どういう時にぶつかるのかというと、駅のコンコースなどで、どうしても向こう側にいきたいとき、そこに流れてくる人びとをうまく避けられないということが多かったのです。

 要するに、とまることのない人の流れを渡るにはどうするのかということなのですが、そこにはコツがあるということでした。流れてくる人の前に出ようとするのではなく、流れていく人の背中に張り付くようにして、背中から背中へ渡っていくということです。

 誰かの前に出るとぶつかるので、誰かの後ろにはりつくようにして、そこからまた誰かの背中に張り付き、そうやって向こう側までわたっていくのです。

 これは、やっていることは、前と後で何も変わらないように見えます。しかし私のこころがまえの問題として、誰かの後ろに出る、誰かの後ろに張り付く、そしてそうやって向こうに渡り切るのだという意識を持ち続けると、誰ともぶつからずに、流れを渡ることができるのです。

 ほんのちょっとしたこころがまえの問題で、流れをスムーズに渡ることができるようになりました。こうすると、誰も立ち止まりませんし、誰にも迷惑をかけないで済むのです。流れはそのまま自然に流れていきます。

 心がまえというものは、ただの精神論ではなく、世界を全く変えてしまうものであると感じました。

 物事にコツがあるというのは、こういうことも含めて言うのだと思いますし、毎日実践してみて、その素晴らしさを毎日実感することになり、とても役に立っているのです。ほんのわずかなことなのですが、効果が全く違うのです。

 

 こころがまえのとして、私はいつも、じっくりと慎重に物事を進めていくというやり方を採用してきました。しかしそれではやはり、どうしても進展が遅くなります。

 最近、私が知ったコツの一つとして、こういうものがあります。

 

 少しのミスは気にするな。その部分だけ後でやり直せばいい。

 全体がしっかり出来上がっていれば、細部はそれほど気にしなくていい。

 完璧でなくてもいい。まず一歩踏み出して進むこと。

 批判は気にしない。

 向かい風は前進している証拠である。

 

 今まではミスをとても恐れていたのですが、やり直しのきく細かいミスなら、まあ、そんなに気にしないで、全体の完成を大切にし、先に進み続けておくのがいいということです。細部の問題で一度とまってしまうと、再開するのにとても大きなエネルギーが必要です。

 

 自分でミスがわかっているのなら、それはそれで、あとで修正すればよく、また将来に生かしていけばいいのです。

 

 このこころがまえのおかげで、電子書籍を始めたり、YouTubeを始めたり、また新しい形の作品執筆の挑戦を始めて、その準備に取りかかったりできるようになりました。

 

 心がまえというものは、精神の持ちようの問題であり、外から見ていて、実質的に何も変わるものではありませんが、やはり大きな意味を秘めています。逆に言えば、心の持ちようで、さまざまな困難を乗り越えていけるということにもなります。心がまえで、開かなかった一つの扉をひらくことができるのです。

 

 完璧でなくてもいいので、進むこと。いまの自分には、この言葉が、とても重要な指標となっています。完ぺきではないぞと批判する人は、きっと自分が完璧なのでしょう。ミスがないのでしょう。ですから、そんな人はまったく相手にする必要がありません。なぜならその人は、人間ではないからです。人間ではないものに批判されても、こちらは人間なのですから、批判が成立しないのです。

 

 何もしないで他人の批判だけしている人よりも、どきどきしながら一歩踏み出す人の方が楽しいでしょう。冒険すること、ミスを恐れずに進むことは、とても価値のあることなのです。

 

 

天天快樂、萬事如意

  みなさまにすばらしい幸運や喜びがやってきますように。

   いつもブログを訪れてくださり、ありがとうございます。