知名度、ブームとは何か | 日置研究室 HIOKI’S OFFICE

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作家の日置俊次(ひおきしゅんじ)が、小説や短歌について語ります。
粒あんが好きですが、こしあんも好きです。

 

  知名度、ブームとは何か

 

 知名度とは何か。ブームとは何かという点を少し考えてみたい。

 私はテレビを見ないので、新しいタレントの名前はわからない。特に最近のタレントはカタカナ交じりのほとんど意味不明の名前が多く、聞いても覚えられない。いま人気でブームですという話を学生から聞くことがあるが、知らないと答えるしかない。

 これは私の側から知らないと答える例であるが、「知らない」というのは、実は学生の側からよく聞く言葉である。

 三島由紀夫を知っているかと聞いたら、教室の大部分の学生が知らないと答えた。

 川端康成を知っているかと聞いたら、教室の大部分の学生が知らないと答えた。

 名前ぐらい知っているだろうと思っても、ダメなのである。

 日本文学科の学生が、知らないのである。

 ノーベル文学賞受賞者と、その候補者であったと言っても無駄なのである。若い人にとって、今、生きていないひとは、覚える対象にならないのである。

 タレントや俳優なら知っているのかと思って、アロン・ドロンを知っているかと聞いたら、誰一人知らないという。

 アロン・ドロンは、40年前なら美男の代名詞で、若い女性はみなあこがれたものである。コマーシャルにもたくさん出ていた。

 さて、作家に関していえば、芥川龍之介という名前は、高校の国語の教科書で見たことがある、漫画などによく登場するという理由で、みんな知っている。しかし芥川ブームなのかと言われれば、そんなブームは存在していないと思う。もしも教科書の「羅生門」と、文豪ストレイドッグスがなければ、芥川を知っている人はほとんどいなくなるかもしれない。そういう外的要因なしで、有名な作家はあまり知らない。

 最近、ニューヨークで30人以上の人に、大谷翔平を知っているかと質問したら、誰も知らなかったという。下に報道を引用する。

 日本人は、大谷なら誰でも知っているだろうと考えるが、それは間違いであるらしい。アメリカでも知られていない。日本人の思考など、全く世界標準ではないのだが、しかし日本人はそうは考えていない。この話を信じようとしないだろう。

 別に大谷でなくとも、ニューヨークで30人の人に、日本の首相を知っているかと聞いたら、たぶん誰も名前を知らないだろう。

 みんな、自分の知っている世界が世界であると思い、自分に見えている水平線が世界の果てであると考えているが、それぞれの世界は重なっているわけではない。というより、みんな世界がずれていて、あちこち離れたところに存在しているのであり、そもそも共通項を探すのが難しい。

 知名度やブームというものは、単純であるようで、かなり難しい問題をはらんでいるのである。

 以下、報道から引用する。この報道はたぶん日本ではその意味が理解されず、無視されるだろうと思う。

 

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大谷翔平の知名度に米国在住の松居一代が疑問符「30名以上の方に質問を投げかけてきましたが…」4/9(火) 15:51配信 東スポWEB

 

 タレントで投資家の松居一代(66)がドジャース・大谷翔平(29)の知名度に疑問を投げかけている。米国ニューヨーク在住で大谷を応援しているという松居だが、8日までに自らのブログで「手当たり次第に…ニューヨーカー達に大谷をご存じですか…と質問を投げ続けてきました 日本の宝物・大谷選手です 私も心から応援しておりますよ しかし残念ながら オオタニ…WHO IS HE ざっと30名以上の方々に大谷選手をご存じですか…とお尋ねしましたが すべての方がNOでした」と日本との温度差をつづっている。

 7日にようやく大谷を知っているシアトルの男性に会ったが、野球好きのその男性は「イチローはブラボーだ 彼のマインドは素晴らしいと大絶賛さなっていました かなりの野球通でいらしたその方に…オオタニ選手を知っていますか…と微かな期待を持ってお尋ねしてみたところ…賭博の選手でしょう…」との答えが返ってきたという。

 また、松居は大谷が日本の小中高生100人をホームステイや留学に招待する企画を進めていることにも「日本とはまったく違う環境の中でもし、なにか事故が起きた際に若き大谷選手が責任をお取りになれるのか そのことを老婆心ながら大変心配しています」と持論を述べ、続けて「賭博行為事件も疑いが起きています。そんなことからこちらの企画は心配が多すぎますね」と元通訳の水原一平氏が引き起こした違法賭博、不正送金問題に触れている。

東スポWEB

 

 

皆様のご健康をお祈りいたします。

   そして皆様に、すばらしい幸運や喜びがやってきますように。

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