歌集『おまへに悪かつた』より、「みづひきの宇宙」 | 日置研究室 HIOKI’S OFFICE

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作家の日置俊次(ひおきしゅんじ)が、小説や短歌について語ります。
粒あんが好きですが、こしあんも好きです。

 

  歌集『おまへに悪かつた』より、「みづひきの宇宙」

 

 私の歌集『おまへに悪かつた』より、「みづひきの宇宙」という一連を引きます。

 こんなにチャーミングな歌が載っている歌集を読まずに威張っている歌人が多いのですが、疑問に思います。

 真正の批評家というものは、もう日本にはいないのでしょうか。

 

 

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    みづひきの宇宙         

 

 

地に顔を寄せてしみじみみづひきを仰げば世界は白くとがりぬ

 

みづひきはかくも乱れて静まりて空にほのかな花火打ちあぐ

 

細き茎うちかさなりて命綱の結び目のごとく黙す赤花

 

みづひきは赤き星座をほつほつと広げてたれのためにしなるや

 

みづひきのむなしさ無限まばらなる赤花の虹をかかげて無限

 

ルメはわれをちらりと見上げ公園の蛇口より水のこぼるるを待つ

 

顔を横に倒してルメはほとばしる光のやうな水を飲むなり

 

みづひきははつかに灯り風にいふ生とはこんなにさびしき祭り

 

   

 

   装丁、カバーデザインはすべて私がひとりでやっています。

 

  

  皆様のご健康をお祈りいたします。

    そして皆様に、すばらしい幸運や喜びがやってきますように。

      いつもブログを読んでくださり、ありがとうございます。