手術室前 | 日置研究室 HIOKI’S OFFICE

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作家の日置俊次(ひおきしゅんじ)が、小説や短歌について語ります。
粒あんが好きですが、こしあんも好きです。

 

  手術室前

 

 

     日置俊次歌集『記憶の固執』より

 

 

 内視鏡腸にくぐらすおまへを産んだときより痛いとははそはのはは

 

 母子手帳と乾したへその緒〈桐たんすの二段目にある〉とははそはのメモ

 

 癌手術のわが母を待つそれぞれの子に母のゐる闇に背を向け

 

 わが歌集十冊は母に読ませむと気負ひぬ病廊のすみに身を抱き

 

 巨大昆虫標本のごとく木にピンで留められてをり母の腸なり

 

 

  母は大腸がんになり、手術をして、その後健康になったのです。しかし胃がんになって、やはり手術を受けたのですが、助かりませんでした。

 母の手術には何度も立ち会いました。

 このとき、胃がんと大腸がんは全く別物であることを学びました。

 名古屋近くに住んでいたので、東京から通うのがかなり大変でした。

 しかし、母は、私の身代わりに病気になり、手術を受けてくれているようにも感じていました。

 母が亡くなってからはしばらく歌を詠めませんでした。

 

 写真はインターネットからある病院の写真をお借りし、トリミングや加工をしました。感謝します。

 

 

 

  

 

 

   

 

  みなさまにすばらしい幸運や喜びがやってきますように。

    いつもブログを訪れてくださり、ありがとうございます。