相撲と神事について
元横綱の白鵬が断髪式を行いましたが、これを論評するつもりはありません。
その最後の土俵入りの写真で、まわしに大きなカミシデがぶら下がっているところが、興味を引きました。
私は学生たちを、渋谷の青山学院大学の近くにある氷川神社につれていき、伝統のある土俵を見せます。そこで、「相撲は神事と言って、神に奉納するものだよ」と説明します。学生たちはぽかんとしています。
いまではオリンピックと同じで、金、金と利益追求の金まみれの見世物になってしまっているので、神事と結びつかないのは当たり前です。
これからは資料として、このまわしのカミシデの写真を学生に見せてあげようと思います。すこし神事を実感できるのではないかと思います。
相撲は土中の邪気を払うとされ、四股もそういう邪気払いの所作です。農耕と密接に結びついています。そしてもちろん農耕と密接に結びついているのが神社です。神社のカミシデは、土を豊かにする雷を表し、しめ縄は稲の藁を編んだもので、五穀豊穣を願うアイテムです。横綱の綱も、そういうしめ縄の類です。塩で土俵を清めるのも神事らしいです。
相撲には農耕の祈りだけではなく、天下泰平、子孫繁栄、大漁などの祈りも含まれます。占いにも用いられたと言われます。「はっけよい」という掛け声は、易占いの「八卦(はっけ)良い」から来ていると言われます。
「古事記」(712年)や「日本書紀」(720年)には、野見宿禰(のみすくね)と当麻蹴速(たいまのけはや)の壮絶な取り組みが描かれています。
神亀(じんき)2年(725年)に、日本は凶作に見舞われました。聖武天皇は、伊勢神宮をはじめ多くの神社に五穀豊穣・子孫繁栄などの祈願を行いました。
このときの神事のひとつが相撲です。他に舞楽、流鏑馬(やぶさめ)、競馬(くらべうま)などが行われました。
翌年は豊作となりました。これを機に神事相撲が毎年行われるようになったという説があります。
いずれにしても相撲はとても古い歴史を持ち、長い間、神前で、神に奉納されてきたということです。神々も相撲をお楽しみになってきたということではないでしょうか。
報道を引用します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
元白鵬・宮城野親方が涙でまげにお別れ…約300人が断髪式ではさみ
1/28(土) 15:03配信 スポーツ報知
◆白鵬引退宮城野襲名披露大相撲(28日・両国国技館)
大相撲で2021年秋場所後に引退した元横綱・白鵬の宮城野親方(スポーツ報知評論家)が28日、東京・両国国技館で「白鵬引退宮城野襲名披露大相撲」を開いた。
長男・眞羽人君との最後の取組、太刀持ちに大関・貴景勝(常盤山)、露払いに関脇・豊昇龍(立浪)を従えた最後の土俵入りなどを行ったあとは断髪式が行われた。300人近くがはさみを入れ、終盤には、この日が誕生日だった母・タミルさん、長男・眞羽人君らに続き角界関係者がはさみ。最後は師匠であった間垣親方(元幕内・竹葉山)の止めばさみで、まげ姿に別れを告げた。大いちょうが切り落とされると、宮城野親方は思い出の詰まった土俵上で涙を流した。
写真はインターネットからお借りしました。学術的な目的ですのでおゆるしください。
皆様に、すばらしい幸運や喜びがやってきますように。
いつもブログを読んでくださり、ありがとうございます。
