ラヴェンダーには翳りがある | 日置研究室 HIOKI’S OFFICE

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作家の日置俊次(ひおきしゅんじ)が、小説や短歌について語ります。
粒あんが好きですが、こしあんも好きです。

 

  ラヴェンダーには翳りがある

 

 私の第8歌集の『ラヴェンダーの翳り』より、ある一連を引用します。

 これは誰にも理解されなかった一連ですが、ラヴェンダーの思い出を描いたものです。

 

 

   ラヴェンダーの翳り

 

 

それもみなココアのせゐか淋しさのほのあかるみて涙とまらず

 

キャンパスの初等部につづく花の道駆け()だしたり半ズボンの子ら

 

細道につんつんラヴェンダー(ひら)き素知らぬ顔で学童ら過ぐ

 

夏 なぜにかくもあくがれて彷徨(さまよ)ふかラヴェンダーの香の翳りもとめて

 

はげしさは暗さなりけりかつて知る荒れ地のかをりと渇きなりけり

 

サバンナに少し似てゐるプロヴァンスの草原をわれは駆けしことあり

 

汗に濡れぎりぎりきしむこの飢ゑを闡明(せんめい)せむと木下闇(こしたやみ)出る

 

ああそれは喉の翳りか夏の日を溢るるくらきもの堰き止めし

 

 

  

 

  皆様のご健康をお祈りいたします。

    そして皆様に、すばらしい幸運や喜びがやってきますように。

 

    いつもブログを読んでくださり、ありがとうございます。