今日は山の日
ふるさとの山に向かひて言ふことなしふるさとの山はありがたきかな
石川啄木『一握の砂(いちあくのすな)』
山に向かって叫びたいことは特にありません。言うことなしというところです。
啄木の歌は、故郷岩手に帰って、岩手山を見ながら歌った歌ではなく、帰郷した自分を想像し、その気分を想像して詠まれた歌です。
かにかくに渋民村は恋しかりおもひでの山おもひでの川
石をもて追はるるごとくふるさとを出でしかなしみ消ゆる時なし
啄木は父の金銭に関わるトラブルのため、実家のある渋民村を出なければなりませんでした。生計を立てるため、盛岡で教員をしたり、北海道で新聞社に勤めるなど、職を転々とします。明治41年(1908年)上京しますが、東京での暮らしも借金三昧でした。明治43年(1910年)、第一歌集『一握の砂』を刊行しました。
持病の結核が悪化して、啄木は短い生涯を終えます。明治45年(1912年)4月13日、享年26歳でした。
山国で育った私も、ふるさとの山をよく思い出します。思い出しますが、やはり何も言うことはありません。ありがたいものだと思うばかりです。
今日、8月11日は山の日です。制定された理由は、「八」の字が山の形に見え、「11」が木が立ち並ぶように見えるので、山を連想させる数字だからということです。
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