今日の黒板 | 日置研究室 HIOKI’S OFFICE

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作家の日置俊次(ひおきしゅんじ)が、小説や短歌について語ります。
粒あんが好きですが、こしあんも好きです。

     今日の黒板

 

 今日のもう一つの授業をご紹介します。

 横光利一の「蠅」を読解しています。

 「眼の大きな蠅」が出てきて、垂直の運動が描かれます。蠅が落下したり、飛び上がったり、その代わり馬車が落下したりします。

 虫で、眼の大きな存在があらわれ、人の命が危険にさらされたりするシーンがでてくると言えば、宮崎駿のアニメーションを思わせます。

 たとえば「風の谷のナウシカ」と「もののけ姫」の冒頭です。

 王蟲という虫は眼を真っ赤に怒らせて、森から登場し、鳥馬に乗ったユパ様を追いかけます。

 タタリガミも眼を真っ赤に怒らせて、森から登場します。ヤックルに乗ったアシタカを追いかけます。

 たくさんの脚で地を這います。

 怒りに我を忘れています。

 どうしたらその怒りを鎮められるでしょうか。

 

 王蟲の眼は赤から青に変わります。ナウシカは、怒りを鎮められたのです。光玉と虫笛だけで、王蟲の怒りを鎮めました。

 タタリガミは、アシタカが赤い眼に矢を打ち込んで、その怒りをおしつぶしてしまいました。その恨みは永遠に残り、アシタカの手に巻き付いて、アシタカを蝕んでいきます。

 

 ここに描かれる眼の秘密とは何でしょうか。

 そうした視点から、「大きな眼」という「眼の物語」にアプローチしていきます。

 

 

 

 

          

 青と赤の入ったネクタイで授業をしました(笑)。