リヴィウ2日目は、この美しいリヴィウの街並みを一望する為に、高い城砦に行こうと思い、歩いて向かった。高い城砦は中心部から離れているので歩いて行くと結構時間がかかるのだが、この街は歩いてゆっくり見て回ってこそおもしろいのだという事を昨日で分かっていたので、途中の住宅地区や小学校などを散策しつつ向かったのであった。しかし、ウジュホロド通りの坂道を登って、やっと展望台に着いたと思ったら、何と展望台が休みじゃないですか!その為に建物に入る事が出来ず、そのまま帰るはめに・・・。

木々の間からかろうじで見えたのがこの写真です。




閉まっていた展望台




高い城砦からの帰り道にリノック広場にある薬局博物館を見学することに。1735年創業でリヴィウ最古。そして何と現在も薬局として営業しており、その薬局自体が博物館となっているという、かなり興味深い場所であったので、是非とも見てみたいと思い、いかにも古めかしい建物の扉を開け中に入る。中も同じく古い中世の薬局といった感じでアンティークなカウンターや家具があったのだが、おもしろいのが普通のお客さんが何人か居てそのカウンター越しに店員と話をして薬を買っているのだ。これが現在も営業中という事なんだな!と思いつつも、現代の人がこの中世の薬局で薬を買って、扱っている薬も現代の薬であるというのが何となくこの場所とミスマッチであり、違和感を覚えるのであった。間違いなく昔扱っていた薬はここで作られたもので、ここの薬局でしか手に入らないものであったはずなのだが、今、売られている薬はどこか大手製薬会社で製造された薬な訳であり、ある意味、現在のこの薬局は薬を販売しているだけの形骸化した普通の薬局になってしまったんだな〜などと考えつつ、カウンターの店員に博物館を見たいと伝えたら、カウンター奥の部屋に通される。そこには昔ここで使用していたであろう薬を作る道具がたくさん陳列されていた。博物館を見る人は私一人だけのようで、創業当時からの石造りの古い建物の中をゆっくりと見学していたら、意識は少しずつ中世に遡っていく。今から270年前にはここで薬が作られていた訳で、病気の人はそれこそ藁にもすがる思いでここにきたのだろうなと、当時薬も医療も現在ほど普及していない事を考えれば、薬局は医者の役割も担うような形であったのかもしれない。当然にして薬はこの場所で原材料収集から一貫して製薬され販売されていた。そういった意味では当時ここで働いていたお店の人は、かなりの自負心と誇りを持って仕事をしていたのだろうなと。それと同時にかなり儲けていたのだろうと思うほどに建物は立派で、先ほどから階段を登ったり、降りたりしながらたくさんの部屋を回ったのだが、まだ出口に辿り着けない。誰とも出会わず一人ぼっちで歩いていると、何か迷路に迷い込んでしまったかのような気がして不安になる。そうこうしていると、知らないうちに地下の薄暗くて静かな部屋に辿り着いてしまった。そこで何気なく飾られていた道具を見て、フッ!と横を見た瞬間!「ギャ〜!!!」と私は思わず声をあげて叫んでしまった。そして左側に視線を感じ、振り向いてさらに驚愕!!何と人が居るじゃないですか?一瞬後ずさり、恐る恐るもう一回覗いてよく見て見たら、何と人形でした!!くそーっ!驚かせやがって!と悪態をついて思わず声を上げてしまった事に対する羞恥心を隠しつつ、周りを見て他に人が居なかったことを確認し、足早にここを立ち去るのでありました。そして1階に戻りやっと出口だなと扉を開けようとしたら、突然扉がひとりでに開いて人が飛び出してきた!!「わっっ!」と、思わずまた声を上げてしまって、よく見たらお店の人でした。どうやら私がなかなか戻って来なかったので心配して探しに来たみたいです。またまた声を上げてしまった事を後悔しながら店員に促され出口に向かう。帰り際に創業当時から売られているという万病に効く「鉄ワイン」を買って、薬局を出たのでありました。

冷や汗をかいた私は外の寒さですぐに冷えてしまい、なんか熱ーいコーヒーでも飲みたいなと、近くにあるヴェルミンカというコーヒーハウスに行き、熱ーくて濃いトルキッシュコーヒーとおいしいチョコレートケーキを食べつつ思いました。いや〜!薬局博物館は日本のお化け屋敷より怖かったなと・・・。

写真は薬局博物館の中です。




同じく迷路のような薬局博物館内。





私を驚かせた人形!!



左側の視線!!




  • 万病に効くという「鉄ワイン」。
    味は養命酒に似てるかも・・・