宿直明けで、家で仮眠した後、いつもの、大宮 鳥メロ東口店へ行く。


今日も起きたら、夕方だった•••

ここは何故だか非常に居心地が良いので、毎回来てしまうのだが、今日は奇跡的に自分も含めた常連4人が17:30に揃った。




こんな事は滅多にある物じゃない。

他の3人とは、個別には良く見かける事があるのだが、3人同時に目撃するのは初めてだ。

まず1人目は、85歳鉄人かくしゃくジジイ。

この3人の中で唯一、話をした事がある人物。

85歳でフルマラソンをやっていると言う人で、身体ががっしりとしており、逆三角形の体のマッチョなお爺さん。定年前は経理の仕事をしていたとの事で、しっかりした話ぶりで、どう見ても60代としか思えない。

この鳥メロに来るのは、ワタミの株券を保有していて、株主優待券を使う為に来ているとの話だった。

しかし、週に1、2回来る自分が結構な頻度で見かけてるので、多分、ほぼ毎日来ているのだろう。

定年後に毎日来れるなんて、リッチで羨ましい限りだ。

そして、2人目は、ビール1杯妖精ジジイ。

このジジイは、年齢的には70歳位なのだが、いつも、お通しのキャベツを断って、ビール1杯だけ飲んで10分で帰って行く。

あまりに一瞬で居なくなるので、まぼろしでも見たのかな?という錯覚に毎回陥り、勝手に妖精ジジイと呼んでいる。

この人も定年後の道楽で毎日来てる感じだが、ここで一杯¥218の安い生ビールをひっかけてから、飲みに繰り出しているのだろう。

そして、一番謎なのが、3人目の常連だ。

自分は勝手に、ポケモン•キャップと呼んでいる。

年の功は30代位とまだ若い。いつも帽子を被って、スーツケースを引いてやって来る。

平日の16時オープンすぐに居る事もあるので、多分、一般的なサラリーマンではない。

自分の本当に勝手な妄想だが、ポケモンカードの売買収集で生計を立てているんじゃないだろうか?なんて思っている。

いつも引いているスーツケースの中には、たっぷりと貴重なポケモンカードが入っていて、自宅に置いてると、盗難の危険があるから、彼は肌身離さず持ち歩いている。

まぁカードの種類はポケモンかどうか分からないが、なんとなくこだわりが強そうな癖のある顔つきをしてて、帽子を被ってるから、勝手に、ポケモン•キャップと名付けた。

今日は日本酒を注文してたのだが、店員さんが徳利とお猪口を運んで来た所、コップに入れて持って来てくれと言って、コップに日本酒を入れて持って来たら、冷やじゃなくて、常温で持って来いと、怒っていた。

常温の日本酒をコップで飲むのは、ほぼアル中の飲み方だなぁなんて自分は思っていたが、多分、こだわりがあるのだろう。

そして最後に、90分ひたすらに生ビールを飲みまくる、M r.ビールおじさんこと、自分だ。

注文する端末画面を常にビール注文画面にして、直ぐに注文出来るようにし、90分で15杯以上のビールを飲み続ける、ビール馬鹿。

そして、最後は大抵、寝てしまい、店員さんが見かねて、お会計と言いに来て、毎回起こされる。

この4人の中で一番タチの悪い常連客は、多分、自分だろう。

しかし、飲みに来ると言う同じ目的で勝手に集っている、この4人に接点は何も無い。

唯一の共通点は、皆1人で飲みに来ていると言うだけだ。

皆んな自分の生き方のリズムを心の中で奏でながら、1人でここ大宮鳥メロ東口店に集っている。

そのそれぞれの奏でるリズムは、同じこの居酒屋という室内空間に居ながら、決して重なり合う事のないリズムだ。

重なり合わないカルテット(4重奏)。

そう思ったら、この間、映画で観た「PERFECT DAYS」の役所広司演じる平山の言葉を思い出した。

「この世界は、ほんとはたくさんの世界がある。繋がっているように見えても、繋がっていない世界がある」

そう思うとちょっと、寂しくなる。

でも、この居酒屋が心地よいと感じている気持ちは、多分、皆んな同じだ。だから、毎回来ている。

いつかお互い話し合って、心のリズムを奏でられる日が来る事を願って、やっぱり、今日も乾杯🍻


今日は鱈鍋を注文した。


空き続けるビールジョッキ