ブログ再開 | ひのきの模型工房 ブログバージョン

ブログ再開

昨年、大変だった地元の町内会の区長役も終わって、ちょうどコロナも一段落して展示会等も参加できるようになりました。

コロナ前と現在とで、大きく変わったことが色々あって、まずはメインの展示会である「静岡ホビーショウ」の合同作品展の展示が従来の島ブースではなくなったため、それまでの大きな走行用ジオラマが置けず、1年ほどかけてサイズ変更したジオラマを新たに作り直しました。

昨年5月のホビーショウにはぎりぎり間に合いましたが、もっともホビーショウ直前の5月のゴールデンウイークには、泊まり込みでお手伝いをお願いして、二人がかりでなんとか仕上げた状態でした。

ホビーショウ自体は、参加人数が20名を超える大所帯のうちのクラブでは、スペースが狭すぎて色々大変でした...

まぁ、ジオラマとホビーショウに関しては、そのうち書くとして...

 

個人的に、一段落したらどうしてもやってみたかったことがあって...

それは、近年急激に進化している個人用の光造形3Dプリンターを使って、いろんな可動パーツを作れないかと

で、

昨年、ホビーショウ後に一台光造形プリンターを購入して、ひたすらテストを繰り返しておりました。

 

無駄にした10種類以上、10数キロのレジンは置いといて、とりあえず使えそうな走行可能な履帯を...

 

まずは、

タミヤの1/35ドイツ3号・4号キットの起動輪用に作った履帯から

もともと、DMMのアクリル素材(精密な方)で作るために設計したモノでしたが、それをうちの光造形プリンターと高精度の水洗いレジンで造形して連結できるようにクリアランスを調整し、さらに、0.4mmのレジンピンで連結できるようにピンを通す連結穴を変更しました。

もともと、0.5mmのピン穴に0.3mmの鉄線を通してつなげる設計でしたが、穴を0.6mmに広げて0.4mmのレジンピンで接続するようにしました。

苦労したのは、穴を0.6mmに広げても、造形後の水洗いで、0.6mmの細い穴の中に詰まっているレジンがきれいに洗い落とせないことで、穴の入り口をラッパ型に広げたり、洗浄機を変えてみたり色々試しましたが、きれいに洗い落とせず、結局硬化した後ピンバイスで穴を開けなおすか、アルコール洗浄のレジンで落ちそうなやつを探すか...とあきらめていたら...

あったのです、きれいに洗い流す方法が!!

数年前に買い替えた、うちの風呂のナノバブルのシャワーヘッドで40度ぐらいのお湯で洗うと細い穴の中まできれいに落ちるのです♪

水洗いレジンと言っても下水にそのままレジンを流せないので、使った水(お湯?)はいったんバケツに入れてますが、ちょうど小さめのバケツ一杯分ほどシャワーヘッドで洗浄すればOKでした。

 

次に連結ピンですが、とりあえず0.4mmのピンを立てて造形すれば作れたので、あとはピンの根元を多少太くして、ピンを差し込んだ時に圧入できれば接着しなくても良いので組み立てが楽だろうと...

ただ、同じピンでも、このコマは丁度良いのにこのコマは緩いとか、同じデータなのに量産すると微妙な誤差がでて、

で、仕方ないので、ピンの根本の寸法を0.03mmくらいの違いで3種類くらい作って使い分けることにしました(笑)

 

そんなわけで、

一応完成したのですが、問題は耐久性でしょうか...

なにせ、ピン穴を0.1mm広げたので、その部分の肉厚が薄くなって弱くなってます。

割れやすい、レジンという材質も心配ですし...

 

というわけで、

半分の50コマくらいつなげた後、手で引きちぎってみますたw

やはり中のピン自体より、その外側の履帯コマの連結穴が割れます...

が、

結構丈夫です!!

50コマあれば、加わった力も50コマに分散されるからだと思いますが、普通に走行させる分には問題ないはず。

 

そんなわけで、現在毎日走行させて、耐久テストをしております。

 

ちなみに、DMMのアクリル素材で造形した履帯は、すでに5年以上走らせてますが問題ないです。

もちろん、ジオラマ上で長時間走らせていると接地面のモールドは削れてきますが、年数経過で脆くなるとかは無いみたいです。

わたしの使った3Dプリンター用のUVレジンはどうなのか...が分かるのは数年後ですかね(笑)

 

タミヤ3号・4号用の履帯以外にも、作って試しております。

これは、ファインモールド社の1/354式中戦車の履帯です。

最近のゴジラの映画にチラッと出ていたそうで、ぜひ走行可能な履帯が欲しいと頼まれて設計しました。

 

これも、実際に走らせてテストしてます。

 

3号同様、キットの起動輪のパーツに合わせて走行することを前提に設計してます。

なので、実物の履帯と穴の大きさとか違うと思います(笑)

 

製作は、

サポート材から一コマずつ手でちぎる様に剝がしていき、若干サポート材が履帯にとげのように残るので、それを鑢で削って整形します。

ピンは両側から押し込む感じで、ピンの最後(根本)の0.5mmくらいが太くなってるので押し込む感じです。

念のために、ピンの根元の太さは3種類くらい用意してます。

 

実際に走行テストしてみると、緩いピンは抜け出してきます。

もう何本も作ったのでけっこう作りなれたはずですが、それでも初回走行で3カ所くらいピンが緩んではずれましたw

もちろん外れたピンは、一段太いピンと差し替えるか、接着してしまっても良いと思います。

まぁ、抜けが気になる時には、刺した後でピンの付け根と履帯の接地部分に微量な瞬間接着剤を筆か何かで塗っておいても良いかもです。

ピンを使わず真鍮線で繋いでいくときには、0.35mm~0.4mm程度の太さの線でつなぐと丁度良いと思います。

 

現在、その他にも1/35センチュリオン(AFVクラブ)の履帯も造形してます。

あと、上の4式中戦車の写真にもチラッと写ってますが、ギヤボックスも造形できないかとテストしてます。

ギヤボックスの方は、まだ試行錯誤中です。

 

さて、

自前の3Dプリンターで履帯を作るメリットですが...

やはり一番は造形費用ですかね~

コロナ以前と現在で変わったものの一つが、DMMの高精度のアクリル素材料金で、以前は1台分の履帯が6千円程度で出来ていたものが、今では9千円を超えてしまいます。

1/35でも大きな車両の履帯一台分だと1万円を超えたりします。

自前で作れれば、高精度のレジンを使っても500グラム6000円のレジンで、3台分は作れますから、価格は安く済みます。

まぁ、3Dプリンタ機械本体とかいろいろ消耗品等必要になるのと、その造形時の手間を考えるとまだまだDMMに注文したほうが得かもしれませんが、履帯以外にも今まで作れなかった細かなパーツも作ってみたいし...

何よりそれも(新たなものを色々試行錯誤するのも)わたしの趣味なのでw

 

能登半島地震の時

今年の正月休みは、光造形に没頭しておりました。

元旦も、朝から造形を繰り返し、自宅の机の上には、テスト車両と製作中のテスト履帯とピンがずらーっと並べられていて....

そんな時にけたたましい地震警報と、今まで経験したことのない大きな揺れが、今まで経験したことのない長時間続きました。

わたしが住んでるのは、石川県の金沢市と空港がある小松市の中間くらいの海沿いの田舎町で、震源地の能登半島とは離れておりましたが、机の上にあった棚はすべて落下し、制作中の模型等はすべて破損し、3Dプリンターは転倒し...

幸いなことに、わたしの周りの被害はわたしの模型関係だけでした。

会社のある金沢市内の事務所の中も、机の上のモノが落下してぐちゃぐちゃでしたが、破損したのは会社に置いてあったわたしの私物の模型だけでした。

たくさんの方からお見舞いのご連絡を頂き、ありがとうございました。