入院となって
部屋の希望が聞かれた。
私は個室希望だった。
大部屋なんて気遣って仕方ない。
すると
「デラックスルームしか空いてないの。
どうしよっか」
と言われた。
デラックスルーム・・・
響きは素敵だ、泊まりたい←
でもお金のかかることだし、
デラックスルームが
1泊いくらかかるのかわからない。
即決はできない。
夫に相談せねば・・・。
でも電話したところで
仕事中だと迷惑かな・・・。
なんて沈黙していたら、
助産師さんは
付き添っていた母に
「うん、お母さんに出してもらえばいいやん。
お母さん、出してあげて」
と、また私の返事を待たずに
決めてしまった。
(それはありがとう)
母も助産師さんの勢いに押されたのと
まだ寝起きだったこともあり
うんうんと頷き、了承した。
あの時、
出産が相次いで
助産師さんは疲れていたのかもしれない。
でももしかしたら
初産の私への
やさしさだったのかもしれない。
お母さんがお金を持っていることを
知っていたのかもしれない←
とりあえず
デラックスルームに泊まることが決まった。
デラックスルームは床暖房完備。
シャワールームもついていた。
しかもこのシャワー、
全身シャワーというやつ。
何個もの噴射口から
シャワ~っとお湯が出てきて
まるで湯船につかったように
全身が暖まる優れものだった。
私はそんな
シャワーの存在さえ
知らなかったので
大興奮。
あとは
普通のホテルと同じような
設備だった。
鏡台に、
お湯を湧かせるポット、
ソファとテーブル。
アメニティも充実していた。
シャンプー、
トリートメント、
ボディソープ、
歯ブラシ、
コップ、
ドライヤー。
は!トイレ!トイレが!
自動でフタが
開くやつだった!!!←
そんなこんなで母と2人、
大興奮しながら
荷ほどきを終えた。
母は「また来るわ」と一旦帰り、
私はベッドに横になり
リラックスしていた。
そこで、ドアがノックされた。
日中勤務の助産師さんが来た。
私の様子をみながら
少し話をすると、
こう言った。
「陣痛、おさまってるよね?」
・・・・・・。
は!ほんとだ!
5分間隔ぐらいで痛みが来てたのに
今全然来てない!
むしろ陣痛自体も弱くなってる!
とびっくりしていると、
「一旦帰ろうか」
助産師さんから
絶対言われたくなかった言葉を
言われたのだ。
そして私の
必死の抵抗が始まる。