カバーの顔写真を見てください。

どなたの顔写真と思いますか?Z世代の人たちは、ほとんど知らないでしょうね。

清水の次郎長、幕末から明治にかけて活躍した東海一の親分です。

 

顔だけで、もの凄い迫力ですね。

今の年金暮らしのお父さんは、決してこんな顔にはなりません。

ぱっと見、まさに極悪人の相です。悪い人相の典型のようです。

 

次郎長は若い頃より博徒の道を歩き始め、毎日ケンカに明け暮れた。

子分を引き連れ、出入りの中で人も殺した。非情に走った時もあっただろう。

罪人となり、無宿人となり、あちこちで追われる身になったりもした。

 

けれど、次郎長が次郎長たる所以は、悪いことをしただけに留まらなかったことだ。

旧幕府艦隊の咸臨丸に残された幕臣の遺体を引き取り、丁重に弔ってやった。

その時、「死ねばみな仏。官軍も賊軍もない」と言ったそうな。

 

山岡鉄舟は、江戸城無血開城を実質的に周旋した幕府方の大人物として知られる。

彼は次郎長の心意気に感動し、以後親しく付き合い、次郎長も鉄舟を慕った。

次郎長は山林を開墾したり、実業家として活躍したりした。鉄舟が次郎長を変えた。

 

そんな次郎長だから、他の肖像画もよく眺めてみると、悪人の相に留まらず、

やはり人間としての迫力・奥深さもにじみ出ている。

逮捕・釈放された後、次郎長は清水の発展のために尽力する人生を送った。

 

リンカーンは、ある閣僚候補者の不採用を決めた理由を問われて、

「顔が悪すぎる。40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持ちなさい」と言ったそうな。

つまり、今までの人生をいかに過ごしてきたかが、顔によく現れるということだ。

 

「人は見た目が9割」なんて題名の本が、一時流行ったりした。

でもぼくは、”人は人相が10割!”ということに改めて気づいた。

ハニートラップするかわい子ちゃんも、よく見るといじわるそうな相が出ている。