日本古来よりの音楽は何かというと、よく分からない。

何がしかの歌があったのは確からしいが、そのメロディーは分からない。

雅楽は日本古来の由緒を持っているようで、そうではなく、

中国やインドから伝わってきたもののようだ。

 

明治維新が成って、西洋文明が怒涛の様に流れ込んだ時、元勲の誰かが、

「日本にある大抵のものは西洋には負けないが、音楽だけは負ける」

と言ったそうだ。

 

確かに西洋音楽は、平均率が発明されたり、楽譜で音楽が再現できたりと、

システマチックにできており、それが大規模な交響曲の創作も可能にした。

明治期に、国を先頭に西洋音楽を積極的に取り入れたのも無理はない。

 

1918年、第1次世界大戦の頃、徳島県鳴門市にある捕虜収容所で、

ドイツ兵捕虜によって、ベートーヴェン「第九」交響曲が全曲演奏された。

それ以来、日本に第九が根付き、その公演は年末恒例の行事となった。

 

鳴門市の翌年、久留米俘虜収容所に収容されていたドイツ将兵のメンバーが、

久留米高等女学校に出張して、演奏会を行った。

その教師や女学生らが、一般の日本人として最初に第九の演奏を耳にしたと言う。

 

福岡では、3代にわたって第九に取り組んでいる人達もいるという。

このように、西洋音楽はクラッシック音楽を中心として日本に確実に浸透し、

今はジャズやポピュラーなど、西洋発の大衆音楽も広く親しまれている。

 

こうして西洋音楽は全て世界標準にまでなったかのようで、そうでない部分もある。

なぜなら、西洋音楽には地方独自の音楽が盛り込まれている作品もあるからだ。

例えば、ショパンにも「マズルカ」のような、ポーランド独特の音楽もある。

 

またオペラは一時日本でブームになったが、長続きしなかった。

オペラの長大な物語が、俳句に親しむような日本人には合わなかったのだ。

ヒーロー・ヒロインのヒステリーのような絶叫に、日本人は引いてしまう。

 

日本発の、世界に波及するような音楽が、

そろそろ産まれてきてもいいんじゃないかな…と思うけど、

音楽表現の試みは世界中でやり尽くされてしまっているから、難しいかな~?

 

ちなみに、ぼくが今までに一番感動した音楽は、

中国の奥地で、二人の少年が横笛で吹いたパフォーマンスでした。

同じメロディーの繰り返しのような、とてもとても素朴な音楽でした。