どうしても欲しい!
あの指輪しかいらん!
あれやないと嫌や!
毎晩毎晩 母が父にせがんでいた指輪…
ある日
九美子 来てごらん
父に呼ばれ 父の元へ
その手には小さな箱があり 父は箱の中を私にそっと見せて下さりました
箱の中には母が欲しがっていたダイヤの指輪が入っていました
父はにっこりしながら お母さん喜ぶぞ
と一言
父は母を大切にしていました
どんなわがままも全て受け入れ叶えてあげていました
母を制する人物は誰も居ません このわがままの受け入れは、生涯妻を暴走させてしまう事に 父は気づいていたかいなかったかは今ではわかりません
…そんな思い出のある指輪
先月 お友達とのお食事会に はめようと思い その指輪を鞄の中へ入れて出掛けました
私はそのままはめる事無く そしてそのまま数日後に引っ越しを行いました
引っ越しの途中で大切な指輪の事を思い出し 急いで鞄の中を探しました
(^-^;)あら?
無いわ おかしい…
他の鞄やコートのポケット等を探しましたが 指輪はどこにもありません
そこで私はやっと胸騒ぎを覚え 事の重大さに気づきました
私は高価な指輪を失していたのです
とっさに 父の悲しそうな顔が浮かびました 母の指輪なのに どうしょう…
仕事を終えましたら すぐに自宅へ帰り 本当に記憶を辿り探しましたがありません
お父さん ごめんなさい あの指輪無くしてしまいました
父の想いも無くしてしまった気持ちが湧き 毎日苦しい日が続きました
私 絶対どこかに仕舞っているはず
とにかく自分を信じ もう一度 タンスの中を探しました
(◎o◎)あっ
(T▽T)こ…これは…
ネックレスの横に
指輪がしっかり仕舞われていました
私は引っ越し前に 指輪を仕舞う際 お客様からお電話があり そのままお仕事になり その時に無意識に指輪を仕舞っていたのですね
父の想いも帰ってきた気がして 本当の安堵を体験させて頂きました

もう この形は古いらしく あまり流通していないとの事ですが 私は 父の母に対する優しい想いがこもったこの指輪を これからもはめる事無く 生涯大切に御守りにして持ちたいと思いました
…