私の知人に50代半ばの男性がおりました
この方の口癖は
「死にたい」
でした
何年間か私は お悩みを聞き 人生設計の立て直しのアドバイスもさせて頂いてました
お金がない 自宅のローンが払えない ご飯が買えない お酒が飲めない…
この方は体が弱かった事もあり ご年齢も若くありませんので 中々良い職は見つかりませんでした
生活保護を申請なさったら?
えっ? 無理やと思うわ…
そんな会話も半年ほどやり取りをし やっと保護申請が受理され 毎月生活保護費が入る事になり 新しく引っ越したアパートの家賃も支払え 食べ物もきちんと買え
安心を手に入れられる事が出来ました
何の心配もなくなり ましたので その方からの連絡も途絶えました
そういえば もう死にたいとはおっしゃってなかったわ…
ふとその方の事を思い出しては 安心していました
…
先日 その方の知人からお電話が有りました
生活保護費 三回目の受け取りの日 その方は 区役所に取りに来られませんでした
担当の方が ご自宅まで訪ねられましたが お留守でした 二週間経ちました三回目の訪問の日
大家さん立ち会いのもと 鍵をあけ、お部屋に入られました
担当の方と大家さんの目に入ったのは その方がお亡くなりになったお姿でした
…
やっと安心を手に入れられたのに…
これから 病院代の心配もなく お薬もきちんと頂けるのに…
新しい自転車も買えるのに…
そして
やっと安定した新しい生活を迎えたばかりだったのに
今頃になって 願いが叶うなんて…
でも 全ての不安から脱出出来て お食事やお薬もきちんと頂けて お亡くなりになる前の夜も きっと安心してお休みになったと思います
ですからきっと お気の毒なんかではなく
お幸せな思いで旅立たれたのだと私は思いました
ただ
「吉田さん いつもごめんな 話聞いてくれるの 吉田さんしかいないからまたかけてしもた…」
いつもいつも私に謝ってばかりおられたそのお言葉が 耳に残ります
そして やはりその方がもうおられないという事実に どこか寂しさを覚えてしまいますね…
…
どうぞ安らかに
お眠り下さいね