ざわりと爪痕
台風が去り
東京には静かな
日常が戻って来た
街の喧騒も
家々から漂う
夕餉の香りも
工事の音さえ
愛おしい
でも
心はザラザラと
まだ
落ち着きを
取り戻せない
台風被害が伝えられて
気になっていた
母の大好きな
亡き父の家
当日被害が
1番に伝えられていた
「大丈夫だろうか?」
「様子見に行こう」
通過中に
心配する母と
何度もやり取りした
明日合流して
一緒に確認に行く
約束にしていた
センターに電話すると
張り詰めた声
「現在、断水と浸水中」
「行き道は土砂崩れで封鎖中」
「家の周辺に崩落箇所がいくつかある」
強張った声で
「行けない」
「やめよう」
「車が通らない」
「まだ様子みよう」
「崩落が分かったら連絡くれるって」
1番気になっているだろうに
判断は早かった
どうか
何もないようにと
願いながら
「とりあえず明日そっち行くね」
息子よ
君の心配している通りだった
母は明日
おばあちゃんとこ行くね
泊まってくる
こういう時は
気丈なおばあちゃんも
きっと心細い
いつも1人で頑張る
おばあちゃんだって
不安と思う
ご飯作ってあるから
台風の日
1週間分作っといて
正解だった
ちゃんと
自分で起きて
自分で用意して
食べて学校行ってね
後片付けもお願い
ゴミも出せる?
3泊
1人で頑張れそう?
戸締まりと火
気をつけて
家を出る時は
電気消して
鍵忘れずに
甘えん坊で
必ず母に起こされる君
用意されるまで
何時になっても食べずに
待ってる君
心配
練習
心配 練習 心配…
自立への
きっかけになるといい
毎日電話するね
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被害に遭われた
あなた様へ
どうか
それぞれの場所で
1日でも早く
日常が戻ることを
祈ってます