ホームレスの私でしたが、アルバイトのおかげで少しづつお金が貯まるようになっていきました。

 

間借りしている会社の社長はそんな私を「妬ましく」思うようになるのです。「ホームレス」を「妬む」んですよ??おカネ持ちなのに…一体なんなんでしょうね。

 

お金で買えるものはもちろん何でも欲しい。手に入れて当たり前、そしてお金が欲しい、もっと欲しい、もっともっと欲しい。失うものはちょっとした小銭だって惜しい。なんとかお金を使わないで済む方法を必死で考える。そして周りの人に締め付けられるような思いを平気でさせるわけです。

 

社長だけでなく、一般にお金持ちほど小金(こがね)にうるさい傾向にあるように思います。ポイントがどうのこうの割引だのクーポン券がどうのこうの…そしていつもお金のことばかり考えています。

 

エビで鯛を釣ることを考える。釣った魚に餌はやらない。奴隷のように働かせて稼がせて成果を取り上げる。自分がしてあげたちょっとした親切をいつまでも覚えていて恩着せがましくするのに、他人がしてくれたことには「あたりまえ」と決め込み忘れてしまう。

 

ちょっとしたことをいちいちお金に換算して、「損した〜得した〜」と騒ぐ。そして「損した」ことだけを覚えていて、いつまでも愚痴を言い、いつまでも恨む。そしてお金で買えないものはもっともーっと欲しいがるのです。

 

 

健康、若さが、愛情が欲しい、尊敬されたい…

 

と。

 

事務所で私が寝ているとき、ドアの隙間からこういう社長の声が聞こえてきました。

 

ああ、羨ましい、あの子が羨ましい…

 

社長:「時給いくらなんだろうね」

サチエさん:「朝から夜中まで働いているみたいよ!?一体いくらもらってるんだろうね。」

社長:「あの子ものすごい働くからね!!全然休まないし。きっとすごい稼いでいるに違いないよ…」

 

聞いてる方が恥ずかしくなります。ご自分の持っている莫大な財産に比べたら何だっていう話なのですが…

 

社長:「家賃もとる?? 5万くらい??」

サチエさん:「いやっ、もーっとでしょ!この事務所家賃高いのよー!!」

 

冗談じゃありません。その日から私はなるべく社長とサチエさんには顔を合わさないようにしました。

 

その数日後です。ちょっとした事件がありました。

 

私は家賃の代わりに光熱費を月3万円、社長に支払っていたのですが、社長は事務所の光熱費をビルのオーナーに納めていなかったのです。光熱費はビルのオーナーが代行して支払い、事務所ごとに按分した上でオーナーから請求される仕組みだったのですが、社長が支払いを滞ったので寝泊まりしている「私に」請求が来てしまったのです。

 

 

その額、月々約2万6千円!!

 

 

この金額を見て驚きました。私は光熱費の名目で社長に毎月3万円払っているのに、事務所全体の光熱費がそれより安かったのです。つまり…社長は会社の光熱費を私に全額支払わせた上に「儲け」まで出していたのです!!

 

この請求書を社長とサチエさんに渡したところ、二人は顔を真っ赤にして激怒!!「事務所の機密を勝手に見やがって!!」と。

 

ま、逆ギレです。勝手に見るも何もビルのオーナーから請求書を裸で渡され説明を受けたのですから。でも社長とサチエさんはそれ以降私のことを完全に「泥棒」呼ばわりです。「情報スパイ」とか言って(盗まれるような情報なんて何もないくせにwwww)専門家を呼んでパソコンのパスワードを変えてみたり。

 

そして二人は私に、だんだん嫌がらせをするようになってきました。電気を使えない様に延長コードを引き抜いて処分されてしまったり、人を雇い早朝私の寝ている時間を狙って事務所の掃除を始めたり、防犯カメラを私のスペースに向けて設置したり。

 

そのころには少しづつ金銭に余裕が出てきていたとはいえ、部屋を借りることができるほどではありませんでした。それに、私の場合保証人や緊急連絡先になってくれる人がいません。だから、頭金がゼロのシェアハウスを見つけて、すぐに入居申込みしました。

 

私は夜中にラブホの仲間達全員を引き連れて事務所に入り、無事に私の私物を運び出したというわけです。

 

続く