👇前回のお話です

 

 

あなたしか愛せない60 サプライズをありがとう

I was born to meet you.

 

 

突然、

「おめでとう、ウンスさん、ヨン、

お前、演奏ちゃんと聴いていたのか?」

アンジェの声が聞こえてきた。

 

「色々ありがとう、ママルさんも」

俺が言うと、

アンジェは、とぼけた顔をし、

ママルさんは微笑んで挨拶をしてくれた。

 

「俺達は邪魔だから、じゃあな。

ウンスさん、ヨン、お幸せに」

アンジェはママルさんと去って行った。

 

そして、大きな窓から夜景が見える席に座った。

夜景なんて、全然目に入らなかった。

今の俺にはウンスしか目に入らなかった。

 

大きな赤い薔薇の花束が、

スタッフによって運ばれてきた。

それを俺が受け取ると、

「ウンス、

108本の赤い薔薇の花言葉覚えている?」

「“結婚してください”でしょ?」

「ウンスが言ってはダメだよ。

俺がいう言葉だ。

ウンス、結婚してください」

 

「はい。

私って、ヨンにそう言ってもらう為に、

生まれてきたのね」

「俺もウンスにいう為に生まれてきたんだ」

 

「ヨン、この花束、かなり重いわね」

「俺が持つから」

「いやよ。一生に一度しか持てないのよ、

重くても、今日くらいは持ちたいわ。

甘く優雅な香りね。ありがとう、ヨン」

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ふたりで食事をしている時だった。

突然、照明が落ちて、

「ヨン、停電かしら?」

ウンスが俺に抱きついてきた。

 

暫くすると、スポットライトが、

暗幕のカーテンに当たった。

そのカーテンが開かれると

そこには、大きなスクリーンがあった。

 

「ヨン、何かしら?」

 

 

パチッ

電源が入ると、スポットライトは消え、

 

「ヨン、これはどういうことなの?

何で、

チュソクさんとリョーコさんがいるの?」

 

 

リョーコさんが笑顔で手を振り、

「あ、あ、マイク繋がっていますか?

チェヨンさん、ウンスさん、

おめでとうございます。

お幸せになってください」

笑顔で手を振っていて、その隣りで

チュソクが深々とお辞儀をしていた。

 

「ヨン、これはどういうこと?ねぇってば」

又、スクリーンは真っ暗になってしまった。

 

 

 

パチッ

すると、今度は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこには、

ウンスの両親が立っていた。

ふたりとも泣いている。

 

チュソクとリョーコさんの声が聞こえてきた。

「おじさんおばさん、どうぞ」

 

「ウンス、ずっと見ていたのよ。おめでとう。

ウンスが幸せいっぱいな顔をして、

母さん嬉しい」

「ヨンさん、初めまして、ウンスの父です。

不束な娘ですが、私たちにとっては、

かけがえのない存在です。

どうか、幸せにしてください。

宜しくお願い致します」

父親は涙で顔をくしゃくしゃにしながら、

深々とお辞儀をした。

 

リョーコさんが、ふたりにハンカチを

渡している手が、スクリーンに映っていた。

 

「こちらから失礼致します。

初めまして、チェヨンと申します。

そちらにご挨拶に伺う前に、ウンスさんに、

プロポーズをしてしまったことをお許しください。

ウンスさんとは出会う運命にありました。

ウンスさんを生んで、育てて頂きまして、

有難うございます。私チェヨンは、

命がけでウンスさんを守り幸せに致します。

ウンスさんと共にこれからの人生を

歩ませてください。

どうぞ宜しくお願い致します」

 

俺は、モニターに映るご両親に深々と

頭をさげた。

 

「ヨンさん、やめてください。

ウンスの喜びいっぱいの顔を

見れば分かります。どれだけ、ヨンさんに

愛されているのか、頭を上げてください。

ウンスを私達の娘をどうぞ

宜しくお願い致します」

 

ウンスの父親は続けて、

「ウンス、とても綺麗だよ。良かったな」

と言ってくれた。

「ウンス、きらきらして眩しいわ。

とても綺麗でびっくりしちゃった。

母さん、とても嬉しい。

ヨンさんの言うことをよく聞くのよ」

ウンスの母親が続けて言ってくれた。

 

泣いていたウンスが、

「いやだわ。お母さん、

それじゃ、私が子供みたいじゃないのよ!」

「ウンスは、子供みたいよ」

母親が泣き笑いしていた。

 

「ねぇ、ヨンどういうことなの?」

「あぁ、なかなか、

ウンスの実家に伺うことが出来ないから、

美容室に入る前から動画を撮っていた。

ずっと、ご両親にウンスを見て頂いていたんだよ。

チュソクとリョーコさんは、ご両親の動画を

撮影してくれている。ウンスの綺麗な姿を

見せたかったから」

「ヨン、ありがとう」

 

ウンスはスクリーンを見て、

「お父さん、お母さん、私はヨンと出会えて、

とても幸せよ。私にはヨンがいる。

どんなことでも頑張れる。

必ず医師にもなる。見ていてね。

安心して」

ウンスは両親に泣きながら笑って手を振った。

 

 

そして、

スクリーンに突然、チュソクの大きな顔が映ると

「テジャン、このあとリョーコさんと観光に

行ってきます。

色々と手配をして頂き有難うございます」

 

ウンスのご両親とチュソクとリョーコさんが、

手を振ってスクリーンは又消えた。

 

 

「どうして、教えてくれなかったの?」

「ウンスを驚かせようとしたから」

 

「ヨンのケチ、お仕置きよ」

「どんなお仕置きでも大丈夫だよ」

 

「それにしてもリョーコさんもケチよ。

昨日院内で会った時に何も言わないのよ」

「秘密にしておけとチュソクに頼んだ」

「そうなんだ」

 

 

 

 

 

 

そこに、アンジェとママルさんが来て、

「ヨン、おばさんにも頼まれたから、

屋敷にも生配信しておいたぞ。

あと、ジュニ姉さんとチュンソクさんと

ウンビョルちゃんも楽しみにしていると、

おばさんから聞いたから配信しておいた」

 

「アンジェ、俺はそこまで頼んでいない。

俺は見世物か」

「そうとも言えるな。あははは」

アンジェは豪快に笑った。

隣のママルさんも口元を押えて、

笑っていた。

 

「分かった。終わったことだ仕方がない。

この店から出たら、もう映すな。俺達の時間だ。

まさか部屋にカメラを仕掛けてはないだろうな?」

「ホテルの信用に関わる、そんなことはしない」

「お前を信じる。覚えておけよな」

 

「じゃ、見送るから」と

アンジェが言い、

 

澄ました顔でアンジェがヴァイオリンを

奴の顔を幸せそうな眼差しで、

ママルさんが見ながら、

ピアノを弾き始めた。

 

クライスラーの『愛の喜び』だった。

 

 

スクリーンの中の

ご両親は泣きながら見ていた。

俺とウンスは、ふたりに向かって

お辞儀をし、

レストランを退場したのだった。

 

 

 

 

 

 

59話について

一生守るから、側にいて欲しいWill you marry me?

 

「あな愛」のヨンは、指輪のケースをパカッと開けて、

片膝をついてのキザなプロポーズをしました。

私の「シンイ二次」は転生輪廻をテーマにしており

ます。高麗のヨンはウンスに対しての歩みが遅く、

苛々して観ておりました。

このお話に出てくる、現代のヨンには、何事も速球

ストレート勝負でウンスに接するようにしておりま

す。それは、あの大谷翔平選手も真っ青

ストレートの速度と思いながら、常にヨンを

描いております。その速度の球を受け取れる捕手、

女房がウンスという訳です。

ウンス以外、この剛速球は受け取れないのです。

高麗のヨンは常に、九回裏二死満塁で打席に

入っているようなものでしたから🥎

 

一方の親友アンジェのことは、主に別館で描いており

ますので、一般記事では、ヨンとアンジェの親密度が

想像つかないことと思います。このふたりも高麗から

続く、何度生まれ変わっても親友であって欲しいなと

思い描いております。〝男の友情〟描いてみたかった

です。

 

~60話のあとがき~

皆さんは、ドラマ「シンイ」の最終回を覚えていますか?

急いで戻ったソウルで医療器具と共に持ち込んだ映写機

のことです。
その中には 懐かしい両親の映像がありました。

「ウンス、風邪は治った?」
『とっくにね、いつひいたと思うの?』

あの会話です。

 

バッテリーが切れて、

映像はそこで途切れました。

両親とは一生会えない、

それでも好きな愛している

チェヨンのところに会いに行きたい。

このやるせないウンスの

気持ちをスクリーンでの会話に

ぶつけて描きました。

 

素人の描いた拙い、

長いお話を読んで頂きまして、

心より有難う ございました桜

 

 

 

 

 

 

 

 

すっぽん小町